「子宮頸がんの死者ゼロ」は可能、ワクチンが予想以上の実績
昨日に続いて子宮頸がんワクチンの話です。以下は抜粋です。
世界保健機関(WHO)によれば、子宮頸がんは世界の女性にとって4番目に多いがんだ。しかし、この病気を克服できる可能性が、新たな研究で示された。英国ではヒトパピローマウイルス(HPV)ワクチンによって、ある世代の女性で子宮頸がんによる死亡がゼロになるという驚くべき結果が得られたのだ。
子宮頸がんと診断されてから5年後までの死亡率は3割前後に上る(米国で約31%、日本で約24%)。子宮頸がんと闘う医師たちにとって、このニュースは医学界の着実な進歩を示す朗報となった。
2026年6月17日付で「The Lancet」に発表された研究では、2001年から2024年までのイングランドの女性たちのデータをもとに分析が行われた。2020〜2024年に20〜24歳だった最も若いグループは、イングランドでHPVワクチンの接種が大きく広がった最初の世代であり、大半の人(88〜90%)が12〜13歳で接種を受けている。このグループでは、5年間に子宮頸がんで死亡した人がゼロだった。予測ではこの間に23人が死亡していたはずなので、死亡率が100%低下したことになる。
より年齢層の高いグループでは事情が異なる。18歳までにワクチン接種の機会を提供されても、接種を選択した人の割合はそこまで高くなかった。それでも、最大で80%の死亡率低下が見られた。
子宮頸がんによる死亡リスクが、ワクチン未接種の女性と比べて接種済みの女性でどれだけ下がったかを表す「相対リスク低下」は、20〜24歳のグループで100%、25〜29歳のグループでも100%と推定された。一方、ワクチンの接種率や認知度が今より低かったうえ、接種した人の多くが今の対象年齢より高い年齢で接種を受け、ワクチンの種類も異なっていた30〜34歳のグループでは、相対リスク低下は63%だった。
「これほど驚異的な効果が得られる理由はおそらく、ワクチンによって持続性のある非常に強力な免疫反応が引き起こされること、ウイルスにさらされる前に接種が行われること、そして(現在使われている)9価ワクチンが、子宮頸がんの90%以上を引き起こす型をカバーしていることでしょう」と、メモリアル・スローン・ケタリングがんセンターのアンドレア・トゥファノ・シュガーマン氏は言う。
2026年5月にミネソタ大学感染症研究政策センターが発表した分析によると、HPVワクチンは効果的かつ安全であり、前がん病変や子宮頸がんを予防するだけでなく、その他のHPV関連のがんに対する予防効果も期待できるという。
世界規模で行われたこの分析は121件の研究を対象としており、ワクチンを1回接種するだけでも、HPV感染を防ぐ効果がある可能性を示唆している。
現在使われているHPVワクチンは、米国では米食品医薬品局(FDA)によって2014年に、日本では2020年に承認された「シルガード9」だ。
米メイヨー・クリニックは、11歳か12歳頃、できれば性行為を経験する前の時点で、女児と男児の両方がワクチンを接種することを推奨している。FDAは9〜45歳を対象に承認しており、すでにHPV感染と診断された人でも接種による恩恵が期待できる(日本での公費による定期接種は小学校6年から高校1年相当の女子を対象とし、1回目の接種を受ける年齢によって2回または3回接種する)。
米国では、13〜17歳でHPVワクチンの接種を完了している割合は64%にとどまり、イングランドの90%を大きく下回っています(日本対がん協会による2025年度の調査では、接種を1回以上受けた2009年度生まれの女性の割合は66.2%)。
HPVワクチンが子宮頸がんを防ぐ効果はさまざまな研究で示されてきたが、死亡を防ぐ効果を示した研究はこれまで少なかった。
12〜13歳でワクチンを受ければ、その子どもが30歳前に子宮頸がんで亡くなるリスクは事実上ゼロになります。
ただし、今回の研究は、すでに子宮頸がんや前がん病変を抱えて生きている人々にとって、現在の治療の選択肢を変えるものとはならない。
やるべきことはまだ多く残されているものの、がん研究者や公衆衛生の関係者は、この「死亡数ゼロ」という研究結果を一つの勝利として受け止めている。
イングランドのHPVワクチン接種世代(2020〜24年に20〜24歳)の子宮頸がんによる死亡が、5年間ゼロだったことがわかった。日本では毎年約2,900人が子宮頸がんで亡くなっている。—という主旨です。反ワクチンは、多くのヒトの死に直結しています。
以下は、この記事に対するいくつかのコメントを抜粋して紹介します。
●2024年、交通事故で亡くなった人は全国で2,663人。同じ年、子宮頸がんで亡くなった女性は2,751人。子宮頸がんのほとんどは、HPVというウイルスの持続感染で起きる。だからワクチンでウイルスを防ぎ、検診で前がんの段階で見つければ、ほぼ防げる。
オーストラリアは2007年から接種を進め、のちに男子にも広げ、2035年ごろには世界で初めて子宮頸がんを「撲滅」する見込み。日本は2013年、副反応の報道をきっかけに、ワクチンの積極的な勧奨を止めた。接種率は7割超から1%未満へ。8年間、ほぼゼロが続いた。
ここで誤解しやすいのは、「今増えている死亡」がワクチン中止のせいだ、という話ではないこと。中止された世代(おおむね1994〜2007年度生まれ)は、今ようやく10代後半から30代。がんが出るのは、これからだ。試算では、この数年の空白だけで、生涯にわたり5,000人を超える女性が、本来なら防げた子宮頸がんで亡くなると予測されている。副反応のニュースは、大きく報じられた。打たなかったことで静かに失われていく命は、ニュースになりにくい。
●マスコミのネガキャンでHPVワクチンの普及に失敗した日本では、今後も毎年毎年約3000人弱が子宮頸がんで死亡し続ける。特に、日野市池田としえ議員とタッグを組んで執拗にネガキャンを行った朝日新聞(特に斎藤智子記者)は、歴史に名を残したと思うよ。ペンの力って、簡単に人命を奪えるんよね。
●【報道で確認できる主な経緯】
〇2013年3月8日 朝日新聞が「子宮頸がんワクチン、中学生が重い副反応 杉並区、補償へ」と報道。翌9日に読売新聞が続く
〇2013年4月9日 朝日新聞が、被害者連絡会による接種中止の嘆願を社会面トップ(2028字)で掲載
〇2013年6月 厚生労働省が積極的な勧奨を中止。接種率は約70%から1%未満に
〇2016年3月 厚労省研究班(池田修一・信州大教授)のマウス実験を、TBS「NEWS23」などが「脳に障害」と報道。
〇2020年2月 英医学誌の推計で、勧奨中止の影響による子宮頸がんの死亡は5,000人以上増えるとされる
〇2022年4月 約8年ぶりに積極的な勧奨を再開



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