ヒトへの移植の橋渡しとしてのブタ腎臓の移植

豚から腎臓を移植され9カ月生存した事例が登場
以下は、記事の抜粋です。


遺伝子を組み換えた豚の臓器を人間に移植する手術は複数の前例があり、腎臓の事例では2カ月にわたり生存した事例が報告されていますが、新たに、豚から腎臓を移植されて9カ月にわたって生存した人の事例が報告されています。

2型糖尿病による末期の腎臓病を患うティム・アンドリュース氏は、5年以内に腎移植を受けられる確率がわずか9%で、死亡するか、移植の待機リストから外されるリスクが40%に上っていました。

アンドリュース氏は2025年1月25日、マサチューセッツ総合病院で必要な遺伝子編集を受けた豚の腎臓の移植を受けました。14日目に行われた生検では、T細胞媒介性拒絶反応が示されたものの、治療により解消。その後、豚の腎臓は6カ月間にわたって安定して機能しました。

しかし、腎臓の微小血管に炎症が現れ、血栓性微小血管症に進行。死亡したドナーから腎臓の提供が受けられたことから、アンドリュース氏は豚の腎臓を271日(約9カ月)後に取り外しました。

アンドリュース氏の事例では、ヒト組織に対する新たな抗体は検出されず、豚の腎臓はヒトの腎移植を妨げないことが確認されたとのこと。

ただし研究チームは、今回の成果は慎重な患者選定と他では受けられない可能性のある集中的な専門医療によるものであり、対照群のない単一事例であると注意を促しています。


元論文のタイトルは、”Porcine kidney xenotransplantation as a bridge to allotransplantation: a first-in-human study(同種移植への橋渡しとしてのブタ腎臓の異種移植:ヒトを対象とした初の研究)”です(論文をみる)。

記事では「豚から腎臓を移植されて9カ月にわたって生存した」ことが強調されていますが、「元論文はヒトの腎臓を移植するまでのつなぎ」であることが強調されています。

「腎臓病なんでもサイト」によると、2021年12月末現在、日本には透析患者さんが349,700人いる一方、腎臓移植を受けている方は、2021年では1,773人で、日本ではまだまだ標準化された治療とは言いにくいですが、アメリカでは2021年24,670件で、移植の実績があり、海外では珍しい治療ではありません。

日本とアメリカにおける亡くなった方からの腎移植(献腎移植)の平均待ち時間は、日本が約14年〜15年、アメリカが約3年〜5年 となっており、日本の方がおよそ3倍から5倍長い状況です。

このような状況ですので、日本ではヒトの腎臓へのつなぎとしてブタの腎臓を使うことは難しいと思います。ブタでの研究がさらに進むことに期待しましょう。

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