強権与党に「勝利」 セルビアのZ世代 学生らの型破りな戦略とは
とても興味深い記事です。以下は抜粋です。
東欧セルビアで10月25日、学生主導の新興中道勢力「学生リスト」が総選挙(一院制、定数250)で勝利し、政権交代を実現する運びとなった。ブチッチ政権の長期支配を打ち破ったのは、約2年間にわたり抗議運動を続けてきたZ世代の若者たちだ。その型破りな戦略とは。
2012年から実権を握るブチッチ前大統領の政権は、長期支配の下で汚職や縁故主義の深刻化が指摘され、欧州連合(EU)加盟交渉は停滞。国民の間でも政権の権威主義化への不満が高まる一方、内紛や分裂を繰り返す既存野党も受け皿になれていなかった。
24年11月に起きた北部ノビサドの鉄道駅での崩落事故を機に、駅の工事をめぐる不透明な契約や政府の汚職体質が事故につながったとの批判が噴出し、学生主導の大規模な抗議運動へと発展した。当初、事故の真相究明と責任者の処罰を求めていた学生らは、次第に政治そのものの変革を求めるようになった。そうして結成したのが、既存の野党とは距離を置く新たな政治勢力、学生リストだった。
比例代表制を採用するセルビアでは、有権者は政党などが提出した候補者名簿に基づいて投票する。学生たちは1年以上にわたる議論を経て、議会に送り込む250人の候補者を選んだ。大学教授や医師、文化人、スポーツ選手、農家など既存政党との関わりが薄い多彩な顔ぶれだ。うち約160人が博士号の取得者だという。
「学生にはリベラルや左派もいれば、民族主義者もいて、一枚岩ではない。議論を重ね、社会の様々な階層や専門分野を代表する候補者を選んだ。ある意味、政治的な実験だ」
そう語るのは、学生リスト広報のタラ・ブラゴエビッチさんだ。自身もベオグラード大学の修士課程に在籍し、抗議活動の初期から活動に携わってきた。
「学生自身は出馬しないことにした。議員になるために抗議を続けてきたのだと、有権者に受け取られないようにするためだった」
学生リストは明確な指導者や上下関係を置かず、特定の人物に権限が集中するのも避けてきた。政権を獲得した場合の首相候補も明らかにしなかった。
政権の影響下にある主要メディアの報道では否定的な論調で報じられるなか、学生たちが駆使したのがSNSだ。インスタグラムのフォロワー数は100万人。人口約650万人の国では異例の規模だ。デモの様子や候補者の主張を臨場感のある動画などで発信し、若者を中心に支持を広げた。
同時に、SNSだけに頼らず、草の根活動にも力を入れた。与党が強固な支持基盤を持つ地方や農村部でも戸別訪問やデモを重ね、上の世代の有権者とも対話を進めた。
リベラルな反政権層にとどまらず、幅広い有権者の支持を取り込もうとする姿勢は、政策面にも表れた。汚職撲滅や司法の独立、報道の自由の回復など国内の制度改革を前面に掲げる一方、有権者の意見が割れるEU加盟については「将来の国民投票に委ねる」とするに留めた。また、ロシアと良好な関係を維持してきたブチッチ政権と同じく対ロ制裁には参加せず、コソボの独立は認めないとするなど、保守層や中間層にも受け入れられやすい立場を示した。
ただ、今後の統治には不透明な要素も多い。候補者の大半は政治経験に乏しく、親欧州のリベラル派から民族主義的な保守派まで政治的立場も幅広い。外交や安全保障などで統一的な政策を打ち出せるかは未知数で、政権運営が不安定化すれば、ロシアの影響力が増す可能性もある。
セルビアのZ世代による異例の「政治的実験」の真価が問われるのは、これからだ。
別の記事によると、10月26日朝時点のセルビア共和国選挙管理委員会の公式データ によると、学生リストは224万6,423票、得票率52.65%を獲得した。「アレクサンダル・ブチッチ―統一セルビア」リストは167万3,241票、得票率39.22%だった。投票率は68.78%で、421万1,957人が投票したそうです。
「学生リスト」という名前が不思議でしたが、記事を読んで納得しました。これまでの政治家がすべてぶっ飛んだところがおもしろいです。250人の1院制で候補者リストによる比例代表というのが効いていますね。
ブチッチ氏は、誰かと違って敗北を認めているそうです。


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