たった1試合のヘディングでも脳に「サイン」が。アマチュア選手の血液が語る神経ダメージ
以下は、記事の抜粋です。
サッカーの元プロ選手は、認知症などの神経変性疾患にかかるリスクが一般の人の2~3倍高いことが、これまでの大規模調査で報告されています(論文をみる)。その原因の候補として疑われてきたのが、繰り返しの頭部への衝撃、つまりヘディングです。しかし、実際の試合中のヘディングが脳にどのような急性の影響を与えるのかは、これまでよくわかっていませんでした。
今回オランダの研究チームは、上位アマチュアリーグの男性選手302人(平均24.6歳)を対象に、実際の公式戦11試合でこの問いを検証しました。試合前、試合直後(1時間以内)、そして24~48時間後に血液検査を行い、ビデオ解析でヘディングの回数や強さを1回ずつ記録。さらに運動強度の影響を補正した、これまでにない厳密なデザインの研究です(論文をみる)。
結果として、選手の72%が試合中に少なくとも1回のヘディングをしており、平均は1人あたり2.0回でした。分析の結果、ヘディングをした選手は、しなかった選手に比べて試合直後の「S100B」(脳を支えるグリア細胞の傷害を示すタンパク質)の血中濃度が34.7%高く上昇していました。また、ヘディングの回数が多いほど、S100Bと「p-tau217」(神経細胞の軸索の傷害やアルツハイマー病の病理と関連するタンパク質)の上昇が大きくなる、いわゆる「量反応関係」も認められました。
とくに注目されるのは、ボールが20メートル以上飛んできてから当たる「高衝撃ヘディング」の影響です。これを複数回受けた選手では、ヘディングをしなかった選手に比べ、p-tau217が51.4%、S100Bも51.4%と大幅に上昇していました。一方で、神経の傷害を示す他のマーカー(NfL、GFAPなど)には有意な変化はみられませんでした。
上昇したマーカーは、24~48時間後には元のレベルに戻っていました。ただし研究チームは、「血液中の数値が正常化しても、脳の組織が回復したことを意味するわけではない」と注意を促しています。1回1回は小さなダメージでも、長年繰り返されることで、神経変性疾患につながる病的なプロセスが積み重なる可能性は否定できないからです。
一方で、この研究はあくまで観察研究であり、ヘディングが将来の認知症を引き起こすと証明したものではありません。
私たちが知っておきたいのは、プロではない普通の競技レベルでも、1試合のヘディングが脳に検出可能な急性の変化を起こしうるという事実です。とくに遠くから飛んでくるボールへのヘディングは影響が大きく、研究チームは「ヘディングの回数や強い衝撃を減らすルール作りが、脳への急性の影響を減らせる可能性がある」と指摘しています。実際、海外では子供のヘディングを制限する国も出てきています。
それぞれのスポーツが生まれた頃に比べて選手の体格やスピードは格段に変化しています。今や、野球のボールは凶器で、相撲の頭突きは自殺行為です。精神論で称賛するのは良いですが、選手の健康も考えてほしいです。
今更できないと思いますが、サッカーボールをバレーボール並みに軽くすればダメージはかなり減ると思います。


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