アカマンボウ

アカマンボウは冷たい海でも体温を維持できる唯一の魚だった
以下は、記事の抜粋です。


海にすむ魚のほとんどは変温動物で、体温は周りの海水と同じまで下がる。ところがアカマンボウは違っていた。深海の冷たい水の中を泳ぎながら、アカマンボウの体の中は温かいままだったのだ。全身の体温を保てる魚は、今のところアカマンボウしか見つかっていないという。

魚が体を温められないのは、エラで呼吸をしているからだ。魚は空気ではなく海水から酸素を取り込んでいる。このとき血液の熱まで海水に奪われてしまうため、魚の体温は海水温より高くならない。

マグロやネズミザメの仲間は、泳ぐための筋肉や目、脳など、体の一部だけを温めることができるが、心臓を含む体の大部分は海水と同じ温度のままで、深く潜れば体が冷えていく。そのため、冷たい海に長くとどまることはできず、海面近くに戻って体を温め直す必要がある。

アカマンボウは世界の外洋域の水深500mまでの表層と中層に生息する魚で、マンボウと名前がついているものの、マンボウの仲間ではない。リュウグウノツカイに近縁の魚である。大きいものは全長2m、体重270kgに達する。

ニコラス・ウェグナー氏率いる研究チームは、生きたまま泳いでいる個体の体温を確認するため、生け捕りしたアカマンボウに体温を測るセンサーを胸ビレの筋肉に取り付けて海に放した。

アカマンボウが泳ぎ回った水深50mから300mの地点の水温は7.8℃から10.8℃しかなかったが、アカマンボウの筋肉の温度は、周りの海水より平均4.8℃高いまま保たれていた。

アカマンボウが体を温められる理由は、泳ぎ方と体のつくりの2つにあった。アカマンボウは翼のような胸ビレを上下に動かして泳ぐ。胸ビレを動かす筋肉は体重の16%を占めており、魚類の中でも飛び抜けて大きい割合だ。泳ぎ続けるかぎり筋肉は動き続け、そのたびに熱が生まれていたのだ。筋肉の周りは1cmほどの脂肪の層に覆われていて、生まれた熱が海水へ逃げないようになっている。

さらに、エラの構造を調べたところ、体から送られてくる温かい血液が通る血管と、酸素を受け取って戻っていく冷たい血液が通る血管が、交互にびっしりと束ねられていることがわかった。

血液が隣り合って逆向きに流れることで、出ていく血液の熱が、戻ってくる冷たい血液に移し替えられる。エラで冷やされた血液は、体に戻る前に温め直されていたのだ。

温かいものと冷たいものを逆向きに流して熱を移し替える方法は、人間も熱を逃がさないための技術として使っているが、アカマンボウは同じ仕組みを手に入れていた。

冷たい深海にすむ魚は、体が冷えて動きが鈍くなるため獲物を待ち伏せして襲うものが多く、研究者たちもアカマンボウを同じように動きの鈍い魚だと考えていた。ところが体を温められるおかげで、イカのようなすばやい獲物を追いかけ、長距離を回遊する活発な捕食者であることがわかったという。

2015年の報告から11年がたつが、全身の体温を保てる魚は、今もアカマンボウのほかに見つかっていない。


「マンボウと名前がついているものの、マンボウの仲間ではない」というのには驚きました。種だけではなく、属や科も違うのであれば、違う名前に変更しても良いのではと思います。福音派もビックリの進化の賜物ですね。

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