アベノミクスが失敗した理由

【緊急和訳】アベノミクスが失敗した理由 |Japan Times(日英併記)FB版
これは、とてもスゴイです。日本語部分を抜粋して以下に紹介します。


先日東京を訪問した二人のノーベル賞受賞者は、安倍首相にこう訴えた。「デフレに苦しめられている国民に増税を課すなんて常軌を逸したことはやめてください」

KrugmanとStiglitzが実際に説明したのは、なぜ首相の経済政策がここまで劇的な失敗を迎えたのか、そして、首相の顧問らが、将来にわたって日本に何の益ももたらさないドグマにしがみつくことで、失敗をダメ押ししてしまっていることだった。

景気刺激策さえうまくいけば、80年代の日本の栄光を取り戻すことができる――アベノミクスがこのように一部の報道で今も健在する課題であるかのように扱われるのは、まさに安倍の熱心な”営業努力”の賜物だろう。だがペテンはペテンに過ぎない。

安倍の策略に最初のほころびがが現れたのは、2014年4月。政権が消費税を5%から8%に引き上げた時だった。国の巨大な負債をなんとか抑制することが重要だった。それは理解できる。しかし、そんな”些細な動き”一つでも国の成長の芽を摘んでしまうことがわかった時点で、安倍はこれを重く受け止め、大局を見つめて軌道修正を図るべきだった。

どうやら安倍には、大恐慌時代にフーバー大統領が後世に遺した「間の悪い緊縮財政」の教訓は伝わっていなかったようだ。来年さらに消費税を2%引き上げることに固執するのは、「日本株式会社」をさらに委縮させ、賃金の上昇率も低下させるだろう。

この税をめぐる劇的な展開は、まさにアベノミクスの最大の欠点を突いている。それは、想像力の欠如だ。アベノミクスは、金融緩和、財政拡大と規制緩和という三本の矢により、現金を溜め込んでいる企業に賃金の増大を促そうとした。これにより消費が拡大し、経済が再生し、インフレが発生し、企業活動が活性化して、G7で日本政府首脳は胸を張って報告できる状況が現出している筈だった。

ところが、安倍政権のイノベイティブなパワーを取り戻そうとする策略には、まさにイノベイティブな思考が欠けていた。たとえば、たばこ税を3倍増しにして、日本をたばこ天国でなくすとか。Stiglitzが奨励する炭素税なんかはどうだろう。でも相続税には手を出してはダメだ。公平性の問題が生じる。2020東京五輪の予算は無論のこと、無用の長物でしかない公共事業費も見直すべきだろう。それから、そろそろ高級官僚もエコノミーでフライトしてもいい頃だろう。

アベノミクスには。現実を直視する力に欠けるという問題が常につきまとった。日本が患っている症状(デフレ圧力)の治癒を図ろうとする一方で、その根本原因(将来への圧倒的な不安)の治癒を怠ってきた。だから、日銀の前代未聞の造幣努力も、家庭ではなくヘッジファンドを潤すだけに終わった。だから、「日本版シリコンバレー」を造り起業ブームを発生させるという目論見も不発に終わった。だから、外資はこぞって日本に投資しようとしない(「シャープ」を買収した鴻海を除いて)。だから、来月行われるG7サミットで日本政府首脳は、胸を張るよりも恥をかくことになる。

安倍のチームが大変な労力と時間をかけたTPPも策略の一部だった。Krugmanが昨年5月22日のニューヨークタイムズのコラムに書いたように、「自由貿易のメリットなどというものは、ほとんどすべて実現している」のであるから。さらにKrugmanは、オバマ大統領が推進する「貿易協定がその実、「貿易協定」ではないことを看破していた。すでに低い関税がいくらかさらに下がるだけで、協定の真の目的は知的財産権(製薬の特許料や映画の著作権等)の強化にあり、「企業と国の紛争解決のルールを変えることにある」と。

企業が「祭り」といえるほどの恩恵を被るこの協定では、ソニーやトヨタなどの大企業の収益を押し上げるかもしれないが、「将来の不安」がつきまとうならば、積極的な賃上げはしないだろう。安倍は関税の撤廃を徹底して求めるべきであり、企業の福祉に貢献している場合ではない。

女性を「希望の星」として担ぎ上げるのも、安倍のペテンの特徴だ。1億2600万人の半数を占める”未活用”の人材を「輝かせる」という安倍のスローガンは、父権社会の日本に一石を投じる政権のセールスポイントとなった。

2020年までには女性が役員の3割を占めるという目標もそうだ。ところが、安倍の内閣はその模範を示しているとは言い難い。内閣の枢要なポジションは男性が占め、女性は格下のポジションしか得られないでいる。政府全体も2020年目標に15年は遅れを取っている。霞が関では、女性は上級管理力はおろか中級管理職でもわずか6%しか占めていないのが実情だ。

日本に蔓延するセクシズムの文化は安倍以前の時代からの問題だが、1955年以降、安倍の率いる自民党は2回しか政権を降ろされていない。ならば、女性のエンパワメント政策が進んでいないのは、自民党の責任ということになる。

最近、「保育園落ちた日本死ね!!!」と題したある主婦のブログが大量に拡散され、安倍を窮地に陥れた。政府は慌てて、家庭と仕事のワークライフバランスを保つために必要な基本的な施策を用意しはじめた。

「子育て支援」が新たな三本の矢の一つとして矢筒に加えられたため、国債に関する懸念が再浮上してきた。つまり、2017年の税引き上げを実現する圧力が強まったということだ。安倍としては面子を保つためにも延期はしたくない。しかし毎日新聞が先日の社説で述べたように、「仮にどうしても増税できない状況だというのなら、アベノミクスの失敗を認めるのが先 」だろう。

悲惨なのは、安倍自身が国会での圧倒的な優位や、高い支持率や、稀にしか得られないチャンスをすべて無駄にしてきたことだ。過去39か月の間に、労働市場の緩和や事業立ち上げの規制を緩和し、関税障壁を撤廃し、企業の島国文化を矯正していれば、成長は加速していたかもしれなかった。会社経営陣は賃上げをする余裕を持っていたかもしれなかった。国債の信用格付も回復していたかもしれなかった。

しかし安倍は、過去25年間ほとんど賃上げを経験していない家庭に税の負担を強いることに重点を置いた。安倍の円安政策の最大の恩恵を被ったトヨタにしてみても、先週木曜に迎えた期末決算では2兆円の収益を出す見込みがありながら、月給は1500円しか上げない。

経済政策の策定には、自ら「ヒポクラテスの誓い」を立てるくらいの矜持が必要だ。2014年に増税に踏み切り、これをまた行うというのであれば、日本の将来への不安はまさに「いまそこにある危機」として現出するだろう。

アベノミクスの自爆を認めるために、二人ものノーベル賞受賞者を呼ぶ必要はなかった。自分の鏡を見つめ直せば済む話だったのだから。


私にはかなり正しいようににみえる上の記事が誤りであることを祈ります。

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