「乳児にもピーナッツ製品を食べさせるべき」というアドバイスで数万人の子どもがピーナッツアレルギーを回避できたことが判明
以下は、記事の抜粋です。
アメリカでは2015年に、子どものピーナッツアレルギーを防ぐために「乳児期からピーナッツ製品を与えること」を推奨するガイドラインが発行されました。その結果、アメリカでは子どものピーナッツアレルギー発症率が大幅に減少したことが、新たに発表された論文で示されました。
ピーナッツアレルギーは、体の免疫システムがピーナッツに含まれるタンパク質を有害だと誤認してしまい、じんましんや呼吸器症状、アナフィラキシーショックなどのアレルギー症状を引き起こす化学物質を分泌することで生じます。医師らは長年にわたり、「ピーナッツやその他のアレルギーを引き起こす可能性がある食品を子どもに与えるのは、3歳になるまで遅らせた方がいい」というガイドラインを発行してきました。
ところが2015年に、これまでの考えを覆す「乳児期にピーナッツを摂取させるとピーナッツアレルギーを予防できる」という研究結果が発表されました。研究者らが乳児を対象に行った臨床試験では、乳児期にピーナッツ製品を与えることで、将来のピーナッツアレルギー発症リスクが80%以上低下することが示されました。
「乳児期からピーナッツを摂取した方がピーナッツアレルギーになりにくいのではないか」という仮説は、「なぜイギリスに住むユダヤ系の子どものピーナッツアレルギー発症率は、同じような祖先を持つイスラエルの子どもより10倍も高いのか?」という疑問に端を発したものです。
当時、イギリスやアメリカではピーナッツアレルギーに関するガイドラインがあったため、生後1年以内にピーナッツ入り食品を与える親はほとんどいませんでした。ところが、イスラエルではピーナッツバターとトウモロコシで作られた「バンバ」というスナック菓子が人気で、生後約7カ月頃から乳児にバンバを与える親が多いとのこと。
2015年の研究結果を受けて、アメリカでは生後4カ月頃からピーナッツを食べさせることを推奨するようにガイドラインが改定されました。
フィラデルフィア小児病院のデヴィッド・ヒル医師らの研究チームは、アメリカの小児科診療所の電子カルテを分析し、ガイドラインの発行前後で食物アレルギーの診断がどのように変化したのかを調べました。
その結果、2015年に初めてガイドラインが発行されてから0~3歳児のピーナッツアレルギーが27%以上減少し、2017年に拡大ガイドラインが発行されてからは43%も減少したことが確認されました。ヒル氏によると、ガイドラインの変更によって過去10年間で少なくとも4万人の子どものピーナッツアレルギーが予防されたと推定されるそうです。
すべてのアレルギー源についてこの結果が拡大できるとは思いませんが、ピーナッツアレギーについては、効果があるようです。逆にアレルギーを増やすこともあるかもしれませんが、他のアレルゲンについても、乳児期の暴露について調べて欲しいと思います。


コメント