新機序の経口関節リウマチ治療薬トファシチニブ、FDAが承認
以下は、記事の抜粋です。
FDAは11月6日、ファイザー社の経口ヤヌスキナーゼ(JAK)阻害薬「トファシチニブ(XELJANZ®)」を世界で初めて承認した。適応は、メトトレキサートで効果不十分または不耐容で中等度から重度の関節リウマチ。
JAK阻害薬は、炎症性サイトカインが生物活性を発揮するために必要なシグナル伝達系であるチロシンキナーゼのJAKを特異的に阻害する。分子量312.4の小分子であり、経口投与が可能。抗リウマチ薬(DMARDs)としては全くの新クラスとなる。
多くの生物学的製剤と同様、MTXのセカンドラインとして使うことができ、他の生物学的製剤の使用を前提としない。単剤療法のほか、MTXなど他のDMARDsと併用もできる。生物学的製剤、あるいはアザチオプリン、シクロスポリンなどの強力な免疫抑制薬との併用は認められていない。
最も多く見られた重篤な有害事象は重篤な感染症で、最も多く報告された有害事象は、上気道感染症、頭痛、下痢、鼻咽頭炎だった。
以前の関連記事で紹介したように、トファシチニブ(tofacitinib)は、ファイザーが開発した経口Janus kinase (JAK)阻害薬です。
JAKファミリーキナーゼには、JAK1、JAK2、JAK3、TYK2の4種類のチロシンキナーゼがあり、造血系の細胞に多く発現しています。JAKは、サイトカインなどによって活性化され、STATファミリーの転写因子をリン酸化し、リンパ球の分化、免疫制御、炎症などにおいて重要な役割を果たしています。
tofacitinibはJAK1とJAK3を阻害すると考えられています。他の薬物に抵抗性の重症RA患者に対して、RA治療薬としての効果が確立されているヒト型抗ヒトTNF-αモノクローナル抗体製剤アダリムマブ(ヒュミラ®)と同程度の効果を示したという報告があります(論文をみる)。
今後は、他剤との組み合わせ、適用疾患の拡大、SNP多型と薬物効果の関連などが話題になってくると思います。いずれにしても、RA治療において有効な選択肢が増えたことは、素晴らしい進歩だと思います。
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