治療薬・コンパニオン診断薬の一体開発

FDAが末期皮膚癌に対してZelboraf(ベムラフェニブ)とコンパニオン診断薬を承認
以下は、記事の抜粋です。


FDAは、末期(転移性)メラノーマ患者の治療薬として、Zelboraf®(vemurafenib〔ベムラフェニブ〕)を承認した。Zelborafは、メラノーマがBRAF V600Eと呼ばれる遺伝子変異を発現した患者にだけ適応される。

Zelborafは、「cobas 4800 BRAF V600変異診断薬」とよばれる診断薬とともに承認された。これは、患者のメラノーマ細胞にBRAF V600E変異があるかどうかを判定する「コンパニオン診断薬」である。BRAF蛋白は通常、細胞増殖の制御に関与しているが、末期メラノーマ患者の約半数で変異している。Zelborafは、V600Eに変異のあるBRAF蛋白の機能を特異的に阻害する。

Zelborafは南サンフランシスコに拠点を置くGenentech社(Rocheグループ)が販売する。Cobas 4800 BRAF V600変異診断薬は、カリフォルニア州PleasantonのRoche Molecular Systems社が製造する。


FDAが一部の後期肺癌に対してXalkori(クリゾチニブ)とコンパニオン診断薬を承認
以下は、記事の抜粋です。


FDAは、末期(局所進行あるいは転移性)の非小細胞肺癌(NSCLC)でALK遺伝子変異を有する患者の治療薬として、Xalkori®(crizotinib 〔クリゾチニブ〕)を承認した。

Xalkoriは、患者にALK遺伝子変異があるかどうかの判定に有用な「Vysis ALK Break Apart FISH Probe Kit」とよばれるコンパニオン診断薬とともに承認された。診断薬とともにXalkoriが承認されたことで、この薬が奏効する可能性の高い患者を選定することができるNSCLC患者の約1%から7%がALK遺伝子に異常がある。Xalkoriは、異常なALK遺伝子により産生されるキナーゼを阻害することで作用する。

Xalkoriは、ファイザー社が販売している。Vysis ALK Break Apart FISH Probe Kitは、Abbot Molecular社が販売している。


ベムラフェニブの承認については、8月31日に紹介したばかりですが、「治療薬・コンパニオン診断薬(companion diagnostic test)の一体開発」というニュースが出てきたので、改めて紹介します。

ベムラフェニブはV600変異によって活性化されたBRAFを阻害し、クリゾチニブはEML4などと融合して活性化されたALKを阻害します。コンパニオン診断薬は、それぞれの治療薬の標的となる変異ががん細胞にあるかどうかを調べるキットです。診断できなければ治療できないので、診断薬の承認が遅れるのは大問題です。日本の場合、承認時期だけではなく保険への収載時期も問題になります。

これまでも、ハーセプチン®(トラスツズマブ)、イレッサ®(ゲフィチニブ)、グリベック®(イマチニブ)などにもコンパニオン診断薬はありましたが、治療薬とは別々に開発されたものが大半でした。FDAは今年の7月、コンパニオン診断薬の開発をサポートするため、新しいドラフト・ガイダンスを発表しました(記事をみる)。今後は、これらの記事のような医薬品・診断薬の一体化開発が増えると思います。

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