陸前高田の松、再び使用中止=表皮からセシウム-五山送り火のまき・京都

陸前高田の松、再び使用中止=表皮からセシウム-五山送り火のまき・京都

以下は、記事の抜粋です。


東日本大震災の津波で流された陸前高田市の松を京都の伝統行事「五山送り火」で燃やすまきに使う計画について、京都市は8月12日、まきから放射性セシウムが検出されたとして、送り火での使用中止を決めた。京都市の門川市長は、「野焼きに関する国の暫定規制値が設定されておらず、安全性を判断できない」と述べた。

計画をめぐっては、送り火の主催団体の一つ「大文字保存会」が、被災者のメッセージが書かれたまき333本を送り火で燃やす予定だったが、放射能汚染を懸念する声が寄せられ中止を決めた。これに対し、批判や苦情が相次いだことから、京都市が「京都五山送り火連合会」に協力を要請。大文字保存会も受け入れに転じた。

まきは陸前高田市で既に盆の迎え火として燃やされたため、京都市はまき500本を新たに取り寄せ、安全性を確保するとして放射能検査を実施。全ての表皮を集め検査した結果、セシウム134が1キロ当たり542ベクレル、セシウム137が同588ベクレル検出された。表皮以外からは検出されなかった。京都市は中止の理由について、参考にした食品衛生法に基づく食品の放射性物質の暫定規制値を検出値が上回ったことに加え、意見を求めた専門家も安全性を判断できなかったためとしている。


PET(ペット)は、がんの検査方法の一つです。「陽電子放射断層撮影」(Positron Emission Tomography)の略です。PET検査は、がん細胞が正常細胞に比べて3~8倍のブドウ糖を取り込む、という性質を利用します。ブドウ糖に近い成分(FDG)を体内に注射し、しばらくしてから全身をPETで撮影します。するとブドウ糖(FDG)が多く集まるところがわかり、がんを発見する手がかりとなります。

日本ではPET検査が普及し、京都にはPET検査のできる施設が、武田病院画像診断センター、坂崎診療所、 西陣病院、京都ルネス病院、京都府立医科大学附属病院、京都大学医学部附属病院の計6箇所があり、今後も減ることはないと思われます。

大阪市浪速区にある「医療法人 聖授会 OCAT予防医療センター」の例でみると、少し前の年間受診者数が平均5,463人ということですので、1日平均約15人が受診しています。京都の施設でも同じぐらいの数だとすると、京都では1日約90人が受診していることになります。

PET検査に用いるFDGからは放射線(γ線)が放出されますので、検査を受けると被爆します。被爆量は3.5mSvです。これが多いか少ないかは別として、投与される放射性物質の量は成人で185メガ(1億8500万)ベクレルです(資料をみる)。

使用核種の半減期は約2時間で短いですが、PET検査は日帰りで、検査施設に到着してから帰宅するまで、2~5時間程度ということですので、京都の地下鉄などには数千万ベクレルのγ線を周囲に放射している患者さんが乗車しているかもしれません。ガイガーカウンターだと振り切れるレベルだと思います。頻度はもう少し少ないですが、バセドウ病でも100-300 メガベクレル程度の放射性ヨウ素を外来で投与された患者さんが街を自由に歩いています。こちらは、半減期がもう少し長いです。

上記のような理由で、放射能汚染を懸念して、松の使用中止の声を寄せた方々は、PET検査をやっていそうな中高年や魅力的な若い女性からは距離をおいて歩き、混雑する京都の地下鉄やバスには乗らない方が良いと思います。

コメント

  1. あ* より:

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    (1)「食品衛生法に基づく食品の放射性物質の暫定規制値」を参考にする根拠が理解できませんでした。食べることと、どう関係するのでしょうか。熱い灰に何か埋めて食べるとか? (2)「表皮以外からは検出されなかった」ならば、たったの333本なら表皮を剥がして焚けばいいなんて思うのは安直過ぎるのでしょうか?

  2. kresnik より:

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    いつも楽しく勉強させていただいております。
    PET検査を受ける中高年は自分の意志で検査を受けているのでよいですが、「バセドウ病の可能性がある若い女性からは距離をおいて歩き」という表現は、患者さんに可哀想だと思います。
    (このコメントは読んだら削除して頂いて結構です)

  3. tak より:

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    >kresnikさん
    ご指摘ありがとうございます。誤解を受けないように文章を少し変更しました。
    私は、131I治療中の患者さんに近づくことが危ないとは思っていません。この程度の放射線レベルであれば、まったく問題ないと医学的に判断されているからこそ、外来で治療されていると考えています。

  4. taniyan より:

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    tak先生
    こんにちは、久しぶりにお邪魔します。
    放射線、確かに世間は心配し過ぎな面も御座いますね。
    自分も素人で良く解りませんが、PET、CT、X線でのバリウム検査等々危険が一杯。
    自分はX線でバリウム検査は20年もやってません、技師がモニター見ながらあっち向け、こっち向けで連続透視、考えただけで怖いです、癌の発見率より、浴びせたX線で発癌する確率の方が高い、なんて言う専門家もいますし。
    宇宙ステーションに滞在してる方々も同様。
    福島で対策に携わってる方の事考えればあまり心配ないような気もしますが。
    僅かな放射線出たからと牛なんかを殺処処分なんて論外。
    人間は殺しませんよね。
    長々と愚話になり済みません。
     
                 taniyan

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