新型コロナウイルスのヨーロッパで出現した新しい株は、武漢でのオリジナル株よりも伝染性が高い

4月30日にbioRxivに発表された研究によると、新型コロナウイルスの新しい株は、オリジナルよりもさらに伝染性が高いようである。
以下は、記事の和訳です。


マサチューセッツ州サンタフェを拠点とするロスアラモス研究所の科学者たちは、COVID-19の原因となるウイルスであるSARS-CoV-2のリアルタイム変異追跡データを分析した。SARS-CoV-2のスパイク蛋白質の14種類の変異が同定され、スパイクD614Gの変異は「緊急の懸念」であると、研究者らは書いている。研究によると、この株は2月にヨーロッパで出現し、3月中旬までに世界中に広がったという。

新しい株はより速く広がり、人々 の再感染に対してより脆弱になる可能性があります、研究の著者は書いています。

この研究はまだ査読を受けていない。


論文のタイトルは、”Spike mutation pipeline reveals the emergence of a more transmissible form of SARS-CoV-2″です(論文をみる)。

スパイクタンパク質というのは、ウイルスの周りから突き出ているタンパク質で、ヒトの細胞への感染に重要だと考えられています。ダイヤモンドプリンセス号や武漢からの帰国者が感染していたのは614番目のアミノ酸がアスパラギン酸でしたが、ヨーロッパで広まり、今やアメリカなど世界中で広まっている株は614番目のアミノ酸がグリシンに変異したものだという話です。日本で今流行しているのもこのD614G株です。この株に感染した患者はウイルス量が多いようですが、これが感染しやすい理由かどうかはまだ不明です。

スパイクタンパク質はワクチンの重要なターゲットです。このウイルスの変異が早いことは、ワクチン開発が難しいことを意味します。オリジナルの武漢株に感染して抗体ができたとしても欧州株に感染する可能性があります。流行の主流となった武漢株(オレンジ色)と欧州株(青色)の流行を観察したのが下のグラフです。

 

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