新型コロナウイルス、国内3症例の経過と得られた示唆

新型コロナウイルス、国内3症例の経過と得られた示唆
2月7日、日本感染症学会・日本環境感染学会の緊急セミナーで、大曲 貴夫氏(国立国際医療研究センター 国際感染症センター センター長)は、これまで同センターが診療した3症例を紹介しました。以下はその抜粋です。


1例目 33歳女性
・主訴:咽頭痛、倦怠感
1月19日に武漢のホテルに1泊し、20日に来日。23日に咽頭痛出現。24日に1回目の受診。インフルエンザ迅速検査は陰性。初診時の診断は上気道炎。発熱が改善せず、27日に2回目の受診。胸部レントゲンで肺野に浸潤影を確認できず、2019-nCoV感染は否定的と判断。30日に3回目の受診。胸部レントゲンでは両側下葉にスリガラス影と浸潤影の出現があり即日入院。その後2019-nCoV感染が確定。

2例目 54歳男性
・主訴:咽頭痛、鼻汁
2018 年 5 月から武漢に滞在中の日本人。2020 年1月27日から咽頭痛と鼻汁が出現。帰国した29日の飛行機内で軽度の悪寒が出現し、37.1℃の発熱と上気道症状が見られた。30日に2019-nCoV感染が判明、胸部レントゲン検査および胸部CT検査を行うがいずれも肺炎を示唆するような陰影なし。急性上気道炎と診断し、入院継続と経過観察。第6病日まで37℃台の発熱と倦怠感は継続、呼吸状態の悪化はなし。

3例目 41歳男性
・主訴:発熱、咳嗽
2019年12月20日から武漢に仕事で滞在中の日本人、以前も何度も滞在歴がある。帰国した2020年1月31日から38℃の発熱と軽微な咳嗽が出現。発熱と上気道症状あり。2月1日2019-nCoV感染が判明。胸部CT検査で左肺突部と左肺舌区に一部浸潤影を伴うスリガラス影があり肺炎と診断。3日時点で37℃台の発熱はあるが呼吸状態の悪化はなし。

※3症例の詳細や胸部レントゲン・CT画像を日本感染症学会サイトに掲載(詳細をみる)。

大曲氏は、日本国内でヒト-ヒト感染が広まって受診者が増加した場合、その多くを占めるであろう軽症患者の症状として、今回の3例が参考になるとして、以下のように述べた。

「私たちが診療した例に限れば、最初の1週間は軽い感冒とほぼ同じ症状で、微熱と倦怠感が主訴となり、この時点で2019-nCoV感染の診断は困難。そのまま良くなるケースもあれば、1週間経過時に呼吸苦を訴え、肺炎と診断されたケースもあった」。「感冒様症状が1週間ほど続き、かつ患者の倦怠感が強い点は、通常の感冒やインフルエンザと経過とは明らかに異なるため、臨床的に疑うカギとなるかもしれない」。

さらに、中国から報告される症例は重症例が多く、軽症例が報告から漏れている可能性がある点に注目。中国以外の報告例には軽症例が多く、中国国内でも実際には軽症から重症まで幅広く発症していると考えられるため、軽症患者の臨床的特徴を検証する必要性があること、軽症者を母数に加えることで現在報じられている2019-nCoVの致死率が下がる可能性があることを指摘した。

加えて、今回の3例の患者は30~50代であり、「国内で高齢者が罹患した場合のデータはまだない。中国の例を見る限り高齢者は重篤化する危険が高いため、その点も注視したい」とした。


この3例のような軽症例では、普通の風やインフルエンザと考えて、病気をもらう可能性が高い病院に行かないヒトは多いでしょう。先日のテレビでもおそらく肺炎になっていても病院には行かないヒトが取材されていました。そのようなヒトがこの新型肺炎を広めるとすれば、感染の蔓延を防ぐのは非常に難しくなります。

「感冒様症状が1週間ほど続き、かつ患者の倦怠感が強い点は、通常の感冒やインフルエンザと経過とは明らかに異なるため、臨床的に疑うカギとなるかもしれない」のであれば、日本での感染拡大を防ぐためには、武漢と関係が無くてもこのような臨床症状を持つ患者すべてにまで検査可能な対象を広げる必要があると思います。

以下は、現在の代表的な「診療の流れ」です。見逃す可能性があります。また、高齢化している日本の開業医を肺炎重症化の危険に晒すことになると思います。

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