日常的なデジタル機器の使用は高齢者の脳の健康を守る?
以下は、記事の抜粋です。
一般に、スマートフォンやタブレットなどのデジタル機器の使い過ぎは、脳に悪影響を及ぼすと考えられている。しかし実際には、その逆の可能性があるようだ。
少なくともテクノロジー革命の始まりを経験した世代におけるデジタル機器の日常的な使用は、認知機能障害のリスクを58%低下させる可能性のあることが明らかになった。
テキサス大学のJared Benge氏とベイラー大学のMichael Scullin氏らは今回、合計で約41万1,430人(試験開始時の平均年齢68.7歳、女性53.5%)が参加した57件の先行研究のデータを統合して解析した。同氏らは、「デジタルテクノロジーとの関わりを持った最初の世代である『デジタル先駆者』が、認知症のリスクが出てくる年齢に差し掛かっている」と指摘する。
研究データを統合して解析した結果、日常的にデジタル機器を使用している人では認知機能低下のリスクが58%低く(オッズ比0.42、95%信頼区間0.35〜0.52)、認知機能低下のペースが26%緩やかなことが明らかになった(同0.74、0.66〜0.84)。
過去の研究で、認知症のリスクは、血圧を低下させることで13%、日常的な身体活動で35%、高い教育レベルで47〜62%、脳トレのゲームなど脳に刺激を与える余暇活動で31%低下する可能性のあることが示唆されているという。
研究グループは、デジタルテクノロジーが認知機能の低下をより緩徐にする理由として、次の3点を挙げている。1)デジタル機器が、思考力や問題解決スキルの強化を促している可能性、2)デジタルテクノロジーが、認知症予防に役立つとされる社会的なつながりを強化する、3)加齢に伴い脳が衰え始めても、デジタル機器が「デジタルの足場」となって日常生活を支え、より長く自立した生活を送るための助けとなる可能性。
元論文のタイトルは、”A meta-analysis of technology use and cognitive aging(デジタルテクノロジー利用と認知老化に関するメタ分析)”です(論文をみる)。
私はこの論文が対象とした「成人期にコンピューターやインターネット、スマートフォンといったデジタル機器に初めて触れた『デジタル先駆者』の中高年層」に属しますので、認知症リスクは低いかもしれません。ただ、ちょっとデジタル機器を使いすぎているような気もします。「過ぎたるは猶及ばざるが如し」に気をつけます。
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