AIを使い、初診診断書でがん患者の生存を予測

AIを使い、初診診断書でがん患者の生存を予測
怖いような気がしますが、けっこう正確なようです。


自然言語処理(natural language processing, NLP)は、人工知能(AI)の一分野であり、コンピュータによって人間の言語を理解、生成、操作することを可能にする技術全般を指す。NLPを使って初診の診断書を解析し、がん患者の予後を予測することが可能であることが示された。

カナダのJohn-Jose Nunez氏らによる本研究では、2011年4月1日~2016年12月31日に、ブリティッシュ・コロンビア州にある6つのがんセンターのいずれかでがん治療を開始した患者のデータを使用した。死亡率データは2022年4月6日まで更新され、更新から2022年9月30日までのデータを分析した。診断から180日以内に作成された腫瘍内科医または放射線医の診断書を持つすべての患者を対象とし、診断書は診断日に最も近い文書を選択した。複数のがんで受診した患者は除外した。

初診時の診断書は、従来の言語モデルとニューラル言語モデルを用いて分析された。主要評価項目は、機械学習モデルの性能をはかる指標の1つであるAUC(曲線下面積、1に近いほど性能が高いとされる)を含む、予測モデルの性能であった。

主な結果は以下のとおり。

・患者5万9,800例中4万7,625例が解析対象となった。うち2万5,428例(53.4%)が女性、2万2,197例(46.6%)が男性で、平均(SD)年齢は64.9(13.7)歳であった。
・初回の診察から計算して、4万1,447例(87.0%)が6ヵ月、3万1,143例(65.4%)が36ヵ月、2万7,880例(58.5%)が60ヵ月後時点で生存していた。
・最良のモデルは、ホールドアウト検証において、6ヵ月生存の予測で0.856(AUC:0.928)、36ヵ月生存で0.842(AUC:0.918)、60ヵ月生存で0.837(AUC:0.918)という精度を達成した。
・6ヵ月生存と60ヵ月生存の予測において、重要となる単語は異なることが判明した。


元論文のタイトルは、”Predicting the Survival of Patients With Cancer From Their Initial Oncology Consultation Document Using Natural Language Processing.(自然言語処理を使用して、最初の腫瘍科相談文書から癌患者の生存を予測する。)です(論文をみる)。

上記論文で研究者らは以下のように結論しています。


これらの結果は、追加のデータなしに、また特定のがん種に対して個別のモデルを訓練することなく、容易に入手できる通常の診断書を用いてがん患者の生存を予測することが可能であることを示唆しています。さらに、これらのAIによる予測モデルがこれまでのがん生存予測モデルと同等かそれ以上のパフォーマンスを示すことを示唆しています。

人工知能が1回の診察のデータでがんの生存率を予測可能に

コメント

タイトルとURLをコピーしました