血中PD-1陽性制御性T細胞(Tregs)の減少は、チェックポイント阻害薬によるメラノーマ患者の臨床アウトカム改善と関連する
以下は、論文要約の抜粋です。
背景:PD-1阻害における制御性T細胞(Tregs)の役割と免疫抑制のメカニズムは完全には明らかではない。
目的:PD-1阻害抗体による治療の血中制御性T細胞(Tregs)サブポピュレーションへの影響を調べる。
方法:ニボルマブ(オプジーボ®)またはペムブロリズマブ(キイトルーダ®)の治療を受けているメラノーマ患者で、フローサイトメトリーを用いて血中のTregサブポピュレーションを調べ、その所見と臨床的アウトカムとの関連を調べた。
結果:CD4+CD25++CD127-PD-1+リンパ球(PD-1陽性Tregs)の発現頻度は、免疫療法の初回サイクル後に有意に減少した(23% vs.8.6%)。初回治療後にPD-1+ Tregsの有意な減少を認められなかった患者と比較して、減少した患者の無増悪生存やメラノーマ特異的死亡に関する臨床的アウトカムは良好であった。
多変量解析によっても、初回治療後の末梢血中PD-1+ Tregsの減少がより良好な無増悪生存や死亡に関する有意な予測因子であることが示された。
結論:今回の臨床試験により、PD-1阻害薬による治療導入後の血中PD-1+ Tregsの急速な減少は、メラノーマの進行およびメラノーマ特異的死亡(MSD)のリスク低下と関連していること、このようなPD-1+ Tregsの減少がみられない患者は、免疫チェックポイント阻害薬に対する反応が認められず、アウトカムは不良であることが示唆された。
ニボルマブ(オプジーボ®)やペムブロリズマブ(キイトルーダ®)はメラノーマだけではなく、肺がんや腎がんにも有効だとされており、メカニズムもおそらく同じなので、本論文で示されたような初回治療後の末梢血中PD-1+ Tregsの減少の有無でその後の治療のアウトカムの良し悪しが予測される可能性は高いと思います。今後の展開に注目しています。
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