調査捕鯨は即刻中止すべし:日本の評判を落とし、農林水産省と反捕鯨団体の懐を潤すだけ
米本 昌平さんが12月24日JBpressに載せた記事です。以下はその抜粋です。
世界の外交史上異彩を放つ調査捕鯨
日本国内での議論は、農林水産省とその外郭団体である「日本鯨類研究所(鯨研)」が提供する情報だけでなされている。日本はこれまでに「調査」の名目で、南極海だけで9000頭のミンククジラを捕獲している。
「科学の名を騙る商業捕鯨」との非難
大型野生動物の調査方法は、発信器を付けて行動を追尾するのが普通であり、毎年400~500頭もの鯨を殺害する日本の調査捕鯨は、全く異質の存在である。諸外国からは「科学の名を騙る商業捕鯨」と非難され続けている。これを科学だと強弁し続けることによる日本のイメージ低下は計り知れない。
5億円もの補助金が使われ、多くの天下りも
調査捕鯨を請け負っている「共同船舶」には、鯨研経由で5億円の国庫補助金が付けられているのに加え、農水省の外郭団体である「海外漁業協力財団」から51億円の無利子融資を受けている。これら関係団体は多くの天下りを受け入れている。しかし、なぜか「事業仕分け」の対象にすらならなかったのは、党派ごとに強力な捕鯨議員連盟があるからだ。自民党捕鯨議連には約60人が名を連ねており、民主党の「政策集INDEX2009」には調査捕鯨は正当な権利とするだけではなく、商業捕鯨の復活までが言及されている。
捕鯨・反捕鯨の勢力バランスは絶妙の関係
IWC(国際捕鯨委員会)総会における捕鯨・反捕鯨の勢力バランスは長い間不変で、何も決まらない状態が続いている。実はこの状態こそがすべての関係者にとって好都合なのだ。農水官僚は利権を死守し、反捕鯨組織には世界中から募金が集まり、日本やオーストラリアの国会議員は、IWC総会やシー・シェパードの妨害があるたびごとに奮闘する姿がテレビに映し出されるからである。この構図を念頭に、農水官僚は、愛国的感情を刺激するような情報をその都度流し続けている。
実はダブついている鯨肉在庫
多くの人が当然と受け取っている「鯨食は日本の伝統文化」という見解は、日本捕鯨協会が1970年代半ばから「国際ピーアール」という会社を使って振りまいた俗説である。岡田外務大臣までが定例記者会見で「鯨食は日本の文化」とコメントしたが、現在、鯨肉は売れず、在庫はダブついている。
世論をあやつり、省益確保に走る典型例
日本がIWCの場で、調査捕鯨をやめる代わりに沿岸捕鯨を認めてくれるよう提案すれば、問題はたちどころに解消するはずである。つまりこれは、官僚がいったん手にした省益を確保するためなら、世論をあやつり、国益を損なうことすら厭わない具体例である。現行形態の調査捕鯨はただちにやめるべきである。
私も、反捕鯨団体の「牛や豚を殺すのは良いが、イルカや鯨を殺すのはダメ」という論理には反発していました。愛国的感情をうまく刺激されていたのでしょう。
和歌山の太地町では、IWCの管轄外のゴンドウクジラを、政府が資源調査に基づいて決めた漁期と捕獲枠のなかでクジラを捕っています。米本さんの主張するように、調査捕鯨をやめて、沿岸捕鯨の枠を広げる方が、少なくとも太地町でクジラを捕っている人たちには良いだろうと思いました。
調査捕鯨:シー・シェパードが新型高速船で妨害
日本の捕鯨船を妨害するために作られた防弾高速艇「Ady Gil」号がデビューしたようです(以前の記事をみる)。日本鯨類研究所(鯨研)は、農水省の外郭団体です。
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