フリバンセリン:閉経前女性の性欲低下障害に対する新しい非ホルモン製剤

Flibanserin: A Novel, Nonhormonal Agent for the Treatment of Hypoactive Sexual Desire Disorder in Premenopausal Women.
以下は、論文要約の抜粋です。


閉経前女性の性欲低下障害(HSDD)に対するフリバンセリンの効果について、2012年から2014年に発表された臨床試験文献をレビューした。

3件のランダム化二重盲検プラセボ対照試験で、北米の閉経前HSDD女性に対するフリバンセリンの有効性が評価された。1つの試験では、閉経後女性での有効性が検討された。

すべての臨床試験において、性機能指数(FSFI)の欲求関連項目スコアおよび性的行為の満足度(SSE)が有意に改善された。

最も頻繁に報告された有害事象は、傾眠、浮動性めまい、悪心だった。


男性では、勃起障害(ED)が最も多い性機能障害であるのに対し、女性では性的衝動の低下が最も多いので、フリバンセリンは「女性用バイアグラ(一般名:シルデナフィル)」という扱いを受けていますが、メカニズムは中枢の刺激ということですので、フリバンセリンは「女性用バイアグラ」ではなく、「催淫剤」に近いものだと思います。

以前にも書きましたが、フリバンセリンの薬理学的性質としては現在、5-HT1A セロトニン受容体アゴニスト、5-HT2A セロトニン受容体アンタゴニスト、そしてD4ドーパミン受容体部分アゴニストなどの性質をもつ抗うつ薬として開発され、抗うつ薬としては失敗した薬です。しかし、この論文によると、女性の性欲低下障害には有効なようです。

バイアグラも狭心症治療薬としての開発は失敗でしたが、ED治療薬として、多くの悩める男性を救いました。また、タムスロシンの前立腺肥大治療効果も、同様のserendipityで発見されたことは、このブログでくり返し書いています。フリバンセリンにもこのような大化けを期待しましょう。

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