インスタントラーメン、「体に悪い」と言われても世界中で愛され続ける理由
以下は、記事の抜粋です。
インスタントラーメンが健康的でないというのは公然の秘密だ。認知症や心臓病、ホルモンバランスの乱れなどのリスクを高めるという研究が、折に触れて発表される。それに驚く人はほとんどいない。
にもかかわらず、自然派志向や菜食主義が広がる現代の世界で、今なおインスタントラーメン市場の大きな成長が見込まれていることは驚嘆に値する。数々の統計によると、世界の業界規模は昨年の646億7000万ドル(約10兆4000億円)から、2032年には984億6000万ドル(約15兆1000億円)まで膨らむ見通しだ。
超加工食品の研究者によれば、カロリー密度(食品1グラムあたりのカロリー)や塩、砂糖、脂質、炭水化物の組み合わせが生み出す嗜好(しこう)性が高いために、食べ出すと止まらなくなるという。
だが一方、日清食品グループの担当者は、インスタントラーメンが「ほっとする食品」を意味する「コンフォートフード」として世界で広く支持されてきた理由について、人々が食べ物に求める普遍的な価値、つまりおいしさと便利さ、保存性、手ごろな価格、そして安全を提供できるからだと説明した。これは、インスタントラーメンの生みの親とされる同社の創業者、安藤百福氏が掲げた開発の5原則だ。
同氏は戦後の深刻な食糧難を目の当たりにして、この5原則を満たす食品の開発に熱中した。そして1958年、試行錯誤を重ねた末に、妻が天ぷらを揚げるのを見てひらめいた。麺を高温で揚げると水分が急激に蒸発し、お湯ですぐに戻る食品ができることに気づいたのだ。世界初のインスタントラーメンの誕生だ。
日清食品は71年、初のカップ麺を発売した。この発明はすぐに国境を越えて広がり、同社は翌年、米カリフォルニア州に初の海外工場を開設した。
世界でのインスタントラーメンの需要は現在、史上最大の年間1230億食に達している。
最新のデータによると、最大の消費国は中国で、年間約438億200万食。これにインドネシアの146億8000万食、インドの83億2000万食が続く。ただし国民1人あたりの年間消費量は、ベトナムが平均81食でトップに立つ。2位は韓国の79食、3位はタイの58食だ。
一方で米国のインスタントラーメン市場も年々拡大し、24年には51億5000万食で世界6位に立った。
インスタントラーメン誕生の地、日本でも可能性の追求が続いている。日清食品は、フードテクノロジーにも力を入れ、33種類の栄養素を詰め込んだ即席の「完全メシ」シリーズを打ち出している。担当者は、「即席食品なのに」ではなく「即席食品だから」こそできることは何かとの発想で、おいしさと健康の両立という新たな可能性の開拓をめざすと語った。
インスタントラーメンの誕生から70年近く経った今も、日清食品の経営判断には安藤氏の企業理念が色濃く受け継がれている。「食が足りて初めて、世の中が平和になる」「食を創り、世の為につくす」「美しく健康な体は賢い食生活から」「食の仕事もまた聖職」という理念だ。
一般の人々にとっても、インスタントラーメンは現代の日常における大切な心身のセーフティーネットという役割を果たす。店がどこも開いていない時、家にインスタントラーメンがあれば、手早く腹を満たすことができる。
ストレスの大きい多忙な生活の中で、頼りになる食事が5分でできるのはありがたい。加工麺が体に悪いといわれながら、今も世界共通の食文化として愛され続ける理由は、ここにあるのかもしれない。
あるいは日清食品が言うように、ロングセラーブランドが帰属する先は企業でなく、消費者の記憶や体験になっていくものなのかもしれない。
塩分やカロリーだけを考えると、外食のラーメン店で食べるラーメンの方が成分が明記されているインスタントラーメンよりも健康的でないと思います。ところで、「インスタントラーメンが健康的でないというのは公然の秘密」だとすると、日清食品の「完全メシ」も健康的でないのでしょうか?



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