米国心臓病学会は、糖尿病例5人に2人(38%)にスタチンが処方されていないことに強い懸念を表明

DM例5人に2人がスタチン処方されず【米国心臓病学会】PINNACLEレジストリ21万人例超の解析

以下は、記事の抜粋です。


スタチン治療により心血管疾患リスク減少のベネフィットを得られると考えられている糖尿病患者の5人に2人(38%)はスタチンを処方されていないとの研究結果が明らかになった。

研究グループは、米国心臓病学会(ACC)による全米心臓病外来の質改善の患者登録(PINNACLE)から、現行ガイドライン発表に先立つ2008年5月から2013年10月に、明らかな心血管疾患のない糖尿病患者(40-75歳)へのスタチン処方状況を調査。心臓病外来204カ所計21万5193人例を解析した。

全体の38%がスタチンを処方されていなかった。また、スタチン使用群は非使用群に比べ、心血管危険因子を有する割合、ならびに非スタチン薬の処方率が高く(使用群28% vs. 非使用群13%)、平均LDLコレステロール値は低かった(使用群90mg/dL vs. 非使用群103mg/dL)。

研究グループは「患者の治療にある程度のばらつきがあるのは仕方がないが、今回得られた所見は臨床転帰に影響する可能性が懸念される。糖尿病患者のガイドラインに則してスタチン使用を改善するよう、国を挙げた努力が緊急に必要」と述べている。


元記事のタイトルは、”Low Statin Use in People with Diabetes Despite Cardioprotective Effects, Guidelines – Analysis of ACC’s PINNACLE registry reveals important gaps in care”です(記事をみる)。元論文のタイトルは、”Practice-Level Variation in Statin Use Among Patients With Diabetes : Insights From the PINNACLE Registry”です(論文をみる)。

アメリカでは、ACCだけではなく、下の関連記事で紹介したように、糖尿病学会や家庭医学学会も、LDL値に基づかずに糖尿病患者へのスタチン投与を推奨しています。上の記事を読んで、この推奨が強いものであることを再認識しました。

なお、日本動脈硬化学会は2013年のACCの上記ガイドラインに対して、2014年に否定的な見解を発表しています(見解をみる)ので、スタチンを処方されていない糖尿病患者の割合は、アメリカよりも多いと思われます。

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