遺伝子組み換え作物 「収量は増える」「農薬が減る」「殺虫剤が不要」で一括りにして良いのか?

「非科学的な遺伝子組み換え作物論争に終止符を!」- 毎日新聞・小島正美記者に聞く遺伝子組み換え作物
以下は、記事の抜粋です。


日本は非常に多くの遺伝子組み換え作物を輸入しています。例えば、トウモロコシは、年間1440万トン輸入しているのですが、そのうちの約1000万トンが、遺伝子組み換えです。また、菜種、大豆についても、輸入の7~9割は、遺伝子組み換えになっていて、日本で流通しているのですが、その実態はほとんど知られていません。

実際に(アメリカに)行ってみたら、生産者は口をそろえて「収量は増えます」「農薬も確実に減ります」「殺虫剤をまかなくて済むので、環境にもいいです」と言うのです。

強調したいのは、途上国のアルゼンチン、ブラジル、フィリピンなどでドンドン使用する農家が増えていることです。途上国でも伸びているということは、零細な農家でも大きなメリットがあるということです。組み換え作物が収量を上げ、農薬の使用を減らし、世界の食料問題を解決しうる力をもっていることは明白だと言えます。

(遺伝子組み換え作物に)否定的な論文は、他の学者の大半から否定されており、学者の間では重みをもったものにはなっていません。一時的に注目を集めるものの、最終的に他の科学者によって淘汰される論文というのはたくさんあります。反対する人たちが論拠としている論文には、そういうものが多いですね。


この記事では遺伝子組換え作物を一まとめにして議論しています。この点は、彼が批判する「組み換え反対派」の人達と同じレベルです。

しかし、導入される遺伝子あるいは新たに付与された形質によって、それぞれの組換え作物は全然違うものになります。

上の記事にあるような生産性の向上を狙った作物としては、害虫抵抗性作物、除草剤耐性作物、ウィルス抵抗性作物、さらには保存加工特性改善作物などがあります。一方、食品の風味を改善したりビタミンAの元となるβ-カロチンを多く含むイネのように機能性の向上を狙ったものもあります。薬物に薬理作用と副作用があるように、これらの作物にもメリットやデメリットがあるはずです。

それぞれの作物について、我々の環境に導入するメリットとデメリットをしっかりとしたエビデンスに基づいて評価し、「遺伝子組換え作物」という色眼鏡を外して、導入の可否を決定するのが良いと思います。

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