シグナル伝達リンパ球活性化分子 F7(SLAMF7)を標的とするエロツズマブ療法

再発または難治性の多発性骨髄腫に対するエロツズマブ療法
以下は、論文要約の抜粋です。


シグナル伝達リンパ球活性化分子 F7(SLAMF7)を標的とする免疫賦活性モノクローナル抗体エロツズマブ(elotuzumab)の再発または難治性の多発性骨髄腫患者を対象とした第3相の臨床試験結果。

方法:患者を,エロツズマブをレナリドミド+デキサメタゾンと併用投与する群(エロツズマブ群)と,レナリドミド+デキサメタゾンのみを投与する群(対照群)に無作為に割り付けた.複合主要評価項目は無増悪生存と全奏効率とした.

結果:全体で 321 例をエロツズマブ群,325 例を対照群に割り付けた.追跡期間中央値は 24.5 ヵ月であった.1 年の時点での無増悪生存率は,エロツズマブ群 68%に対し対照群 57%であり,2 年の時点ではそれぞれ 41%,27%であった.

結論:再発または難治性の多発性骨髄腫患者に,エロツズマブ,レナリドミド,デキサメタゾンを併用投与した結果,病勢進行または死亡のリスクに 30%の有意な相対的低下が認められた.


signaling lymphocyte activation molecule family 7(SLAMF7)は、骨髄細胞やナチュラルキラー(NK)細胞の表面に発現している糖タンパク質です。CS1、CRACC、19A、APEX-1、FOAP12などいろいろな別名があります。

エロツズマブは、NK細胞上のSLAMF7と結合してNK細胞を直接的に活性化させると同時に、骨髄腫細胞上のSLAMF7と結合し、NK細胞による骨髄腫細胞の認識と破壊を進めるそうです。SLAMF7は、骨髄腫以外には、ナチュラルキラー細胞、細胞傷害性T細胞及び活性化B細胞でその発現が報告されているだけなので、他のがんへの応用の可能性は低いかもしれません。

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