7月3日、ジェノタイプ1型C肝薬ハーボニー®、悪性黒色腫の免疫療法薬ヤーボイ®などを厚労省が承認

新薬11製品が承認 ジェノタイプ1型C肝薬ハーボニー、悪性黒色腫の免疫療法薬ヤーボイなど
以下は、記事の抜粋です。


厚労省は7月3日、新薬11製品19品目を承認した。この中には、高い奏効率で注目され、5月に発売になったジェノタイプ2型C型慢性肝炎治療薬ソバルディに、NS5A阻害薬レジパスビルを配合したのハーボニー配合錠も含まれる。同剤の適応は、日本のC型肝炎患者の7割以上といわれるジェノタイプ1型で、治験では、持続的ウイルス学的著効率(SVR12)が100%との結果が得られている。また、悪性黒色腫に対する免疫療法薬でブリストル・マイヤーズのヤーボイも承認となった。

承認された医薬品は次のとおり(カッコ内は一般名と申請企業名)


▽ハーボニー配合錠(レジパスビル・ソホスブビル配合剤、ギリアド・サイエンシズ):「セログループ1(ジェノタイプ1)のC型慢性肝炎またはC型代償性肝硬変におけるウイルス血症の改善」を効能・効果とする配合薬。

レジパスビル及びソホスブビルはC型肝炎ウイルスの複製に関わるNS5A及びNS5Bポリメラーゼをそれぞれ阻害することでウイルスの増殖を抑制する。


▽ヤーボイ点滴静注液50mg(イピリムマブ遺伝子組換え、ブリストル・マイヤーズ):「根治切除不能な悪性黒色腫」を効能・効果とする。

同剤は免疫反応を活用して効果を発揮する薬剤で、T細胞の活性化を抑制するCTLA-4の働きを抑え込むことで、腫瘍抗原特異的なT細胞の活性化と増殖を促して腫瘍増殖を抑制する作用を持つ。ヒト型抗ヒトCTLA-4モノクローナル抗体で、CTLA-4免疫チェックポイント阻害薬と呼ばれる。

同じ適応症で小野薬品が2014年9月に発売した免疫療法薬オブジーボとは異なる経路を標的にする。


▽オフェブカプセル100mg、同カプセル150mg(ニンテダニブエタンスルホン酸塩、日本ベーリンガーインゲルハイム):「特発性肺線維症」を効能・効果とする。

国内患者数は約1万数千人とされる。肺線維症の発症機序への関与が示唆されている血小板由来増殖因子受容体(PDGFR)、線維芽細胞増殖因子受容体(FGFR)および血管内皮増殖因子受容体(VEGFR)を標的し、細胞内のシグナル伝達を阻害する。この疾患で初めての分子標的治療薬となる。


▽ファリーダックカプセル10mg、同カプセル15mg(パノビノスタット乳酸塩、ノバルティスファーマ):「再発又は難治性の多発性骨髄腫」を効能・効果とする。

日本での推定患者数は約1万4000人。人口10万人あたり推計年齢調整罹患率は約2人で、年間死亡数は4066人と報告されている。多発性骨髄腫を含む複数のがんでは、ヒストン脱アセチル化酵素(HDAC)活性の上昇が見られ、腫瘍の形成や増殖、血管新生などがんを促進するプロセスが生ずる。同剤は、このHDACを阻害することで、細胞死を誘導し、腫瘍の増殖を抑える新たな作用を持つ。


リバビリンの併用が不要なC型肝炎治療薬としては、ダクラタスビル(ダクルインザ®)とスナプレビル(スンベプラ®)が先行しています。ハーボニー配合錠®は1日1回1錠であるものの、後者はダクルインザが1日1回でスンベプラが1日2回の投与になります。また、ハーボニー配合錠は12週間の投与期間であるのに対して、「ダクルインザ+スンベプラ」では24週間の投与になります。C型肝炎市場は激戦になりそうですが、患者にとってはありがたい話だと思います。

アメリカではPD-1阻害薬よりも先行して認可されていたCTLA-4免疫チェックポイント阻害薬ヤーボイ®が認可されました。今は悪性黒色腫だけですが、どこまで対象が広がるかや、PD-1阻害薬などとの組み合わせに注目したいと思います。

EGFR阻害薬のゲフィチニブ(イレッサ®)が、多くの肺がん患者で肺線維症を引き起こしたことは良く知られています。標的は異なりますが、同じ受容体型チロシンキナーゼを阻害するニンテダニブが、「特発性肺線維症」を副作用としてではなく、「効能・効果」とするのは知りませんでした。非常に興味深いと思います。

HDAC阻害剤は、クロマチン構造を弛緩させてDNAの露出度を増大させるので、DNAをターゲットとする抗がん剤の作用を増強するぐらいかと思っていたら、単独で多発性骨髄腫に効果があるのですね。これも知りませんでした。

コメント

タイトルとURLをコピーしました