成人型アトピー皮膚炎の症状改善にビフィズス菌が有効!?

成人型アトピー皮膚炎の症状改善にビフィズス菌が有効!? – 協同乳業が確認
以下は、記事の抜粋です(太字はブログ著者による)。


協同乳業は8月5日、ビフィズス菌「LKM512」が、成人型アトピー性皮膚炎の症状とQOLを改善することを確認したと発表した。

協同乳業の松本光晴氏、同村松幸治氏、同中村篤央氏、同藤田絢子氏、ちとふな皮膚科クリニックの江畑俊哉医師、順正会ヒロオカクリニックの弘岡順子医師、細谷皮フ科の細谷律子医師、慈井会井上医院の井上奈津彦医師、伊丹皮フ科クリニックの伊丹聡己医師、つじ醫院の辻和男医師、八木沼皮フ科の八木沼健利医師、用賀アレルギークリニックの永倉俊和 医師らによるもので、米国アレルギー・喘息・免疫学会の学術誌に掲載された。

プロバイオティクスの摂取による乳幼児のアトピー性疾患への効果は今まで多くの報告されているが、難治化した成人型アトピー性皮膚炎への効果に関する報告はほとんどなかった。

研究では、成人型アトピー性皮膚炎患者44名対象に行われ、「LKM512」摂取群とプラセボ摂取群(実際には摂取していない被験者群)において、摂取前、摂取4週および8週後に担当医の診断と被験者の自己評価で効果を比較・判定した。判定項目は、かゆみのスコア、皮疹の程度、QOLの3つで、顕著な症状改善が認められた被験者に対しては糞便内代謝物を解析した

この実験の結果、医師の診察によるかゆみに関する項目が、「LKM512」摂取群で摂取8週目にプラセボ群と比較して改善されたほか、4週目および8週目でQOLに有意な改善が認められたという。さらに、顕著な症状改善が確認された被験者の糞便内代謝物を解析したとろ、ラットでのかゆみ抑制作用報告されているキヌレン酸の増加が確認された。

同研究グループは、「LKM512」は成人型アトピーに有効性が示された初めてのプロバイオティクスであり、かゆみ抑制物質を産生するメカニズムをもつことが推測されるとコメントしている。


元論文のタイトルは、”Antipruritic effects of the probiotic strain LKM512 in adults with atopic dermatitis”です(論文をみる)。掲載された雑誌は査読のある国際雑誌ですが、以下のような問題があると思います。

1.筆頭著者かつ責任著者の松本氏は協同乳業の社員ですので、明白な利益相反関係があります。同様に12名の著者中4名が同社の社員です。

2.残りの著者8名は開業医ですが、プラセボ摂取群として摂取していない患者群を用いているので、医師はどの患者が摂取したかしていないかを知った上で「LKM512」の効果を判定していることになります。

3.研究では、顕著な症状改善が認められた被験者だけに対して糞便内代謝物解析を行っています。これでは、症状とキヌレン酸量の間に相関関係があったかどうかわからないはずです。

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