乳がん遺伝子の特許訴訟、米最高裁で始まる

乳がん遺伝子の特許訴訟、米最高裁で始まる
以下は、記事の抜粋です。


民間企業による、乳がんに関連するヒト遺伝子の特許取得をめぐり争われている、遺伝子訴訟史上最大の注目を集める裁判が4月16日、米最高裁で始まった。

ヒト遺伝子2万4000のうち、がんやアルツハイマー病などに関連した20%近くは既に特許登録されており、最高裁の判断は、研究、患者の健康、そして医薬品業界に広範囲の影響を及ぼす可能性がある。

訴訟は、米ユタ州に本社を置くミリアド・ジェネティクス(Myriad Genetics)を相手取り、米国自由人権協会(American Civil Liberties Union、ACLU)や15万人以上の遺伝学者、病理学者、研究員らが起こしたもの。争点となっているのは、遺伝性の乳がん、卵巣がんと関連性があり、ミリアド社が特許を取得しているBRCA1、BRCA2と呼ばれる遺伝子だ。

ミリアド側は、1998年に2遺伝子の特許を取得したことで、「遺伝子の解読、試験の設計・実施、結果の解釈、患者の手助け」のために必要な資金を調達する助けになったとし、100万人に恩恵をもたらしたと主張している。

専門家らは、ミリアドが他の研究機関によるBRCA遺伝子の研究を禁じ、試験に参加する患者に対して、過度に高額な3000~4000ドル(約29万~39万円)の費用を要求しているとして批判している。またACLUはヒト遺伝子の特許取得に対して、「遺伝子は『自然の産物』であるがゆえに特許を取得することはできず、米国憲法修正第1条と特許法に違反している」と主張している。最高裁の判断は6月に下される見通し。


約3年前米国連邦裁判所は、ミリアド・ジェネティクス社のBRCA1とBRCA2に関する遺伝子特許を無効とする判決を下しました。これについては、本ブログでも記事としてとりあげています(記事をみる)。今回は、最終決着のようです。

ミリアド社はユタ大学などの研究者達が作ったいわゆるスピンアウト・ベンチャーです。当時は、遺伝子研究を金に結びつけたスマートな研究者の鏡として賞賛されていました。我々も、わけもわからず、いろんな遺伝子で特許をとったりしましたが、まったく収入には結びつきませんでした。

今になって考えると、上記の原告団の主張、「遺伝子は『自然の産物』であるがゆえに特許を取得することはできず、、、」というのが、至極もっともに思えます。

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