6カ月に1回の皮下注で効く骨粗鬆症治療薬が承認

プラリア:6カ月に1回の皮下注で効く骨粗鬆症治療薬
以下は、記事の抜粋です。


2013年3月25日、骨粗鬆症治療薬のデノスマブ(プラリア®皮下注60mgシリンジ)が製造承認を取得した。適応は「骨粗鬆症」で、用法・用量は「成人には6カ月に1回、60mgを皮下注射」となっている。デノスマブ製剤は、既に「多発性骨髄腫による骨病変及び固形癌骨転移による骨病変」を適応とする「ランマーク®」が承認されている。

現在、骨粗鬆症の治療薬としては、(1)破骨細胞に作用して骨吸収を抑制する薬剤:ビスホスホネート製剤、活性型ビタミンD3製剤、女性ホルモン製剤、選択的エストロゲン受容体モジュレーター、(2)骨芽細胞に作用して骨形成を促進する薬剤:ヒト甲状腺ホルモン(PTH)製剤──などが使用されている。

デノスマブは、RANKリガンドを標的とするヒト型モノクローナル抗体で、破骨細胞の形成を抑制することで骨吸収を抑制する。その結果、皮質骨及び海綿骨の骨量を増加させ、骨強度を増強させると考えられている。

今回承認されたプラリアの最大の特徴は、6カ月に1回の皮下投与で、優れた骨折抑制効果が確認されていることである。

薬剤投与に際しては、承認までの国内第3相臨床試験で、何らかの副作用が18.0%に認められていることに十分な注意が必要である。同成分のランマークについては、2012年9月に「重篤な低Ca血症の副作用発現」に関する安全性速報(ブルーレター)が発布され、注意喚起されていることを知っておきたい。


このブログでも、デノスマブがECとアメリカで、閉経後女性の骨粗鬆症に対する使用が承認されたことを紹介しました(記事をみる)。あれからちょうど3年経って日本でも承認されました。デノスマブは、エリスロポエチン製剤の次のブロックバスターとしてAmgenが最も期待する薬です。

NF-κB活性化受容体リガンド(RANKL: receptor activator of NF-κB ligand)は、TNFリガンドファミリーに属する膜結合型サイトカインで、骨芽細胞などが発現するタンパク質です。RANKL の受容体(RANK: NF-κB活性化受容体)は、破骨細胞前駆細胞上に存在しており、骨芽細胞と破骨細胞前駆細胞がコンタクトすることにより、RANKLとRANKが結合し、TRAF6(TNF receptorassociated factor6)を介する情報伝達経路が活性化された結果、前駆細胞が破骨細胞へと分化します。

デノスマブは、RANKLに結合するモノクローナル抗体で、RANK/RANKLの結合を阻害します。上記記事のように、破骨細胞への分化を抑制するので、閉経後骨粗鬆症や骨転移を伴う悪性腫瘍に対する効果が期待されています。

以前にも書きましたが、高齢者への投与が多いことを考えると、半年に1回の皮下注射で有効であることはかなりのメリットだと思われます。ただ、ビスホスホネートも月1回とか年1回のものが出てきます。副作用とコストの勝負になりそうです。

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