COPDとその治療薬――推定患者数は530万人超 寿命とともに急増中の見逃しやすい病気

COPD治療薬 20年までに1000億円市場に 11年実績比で2.5倍以上

以下は記事の抜粋です。


富士経済はこのほど、国内の医療用医薬品のうち、整形外科領域や呼吸器領域など6薬効領域(計26品目)の市場調査を実施し、COPD治療薬市場は20年までに1000億円を突破するとの分析レポートをまとめた。

COPD市場は、11年売上が402億円のため、20年までに2.5倍以上の規模に成長する。喫煙率の高い団塊世代の高齢化や、行政が推進する「健康日本21」にCOPDの具体的な目標値が定められることなどが、急成長の背景要因となる。

呼吸器領域では、新薬や適応拡大が積極的に行われている喘息やCOPD治療薬が市場全体をけん引するものの、鎮咳や去痰などの市場は横ばいか縮小し、加えて気管支喘息などに用いるシングレアやキプレスに16年頃にジェネリックの参入が予測されるとして、市場全体では20年に4000億円弱、11年比約28%増と分析した。

推定患者数が530万人(01年調査)といわれるCOPD。死亡原因でも世界4位(05年)、日本は9位(11年)といわれるが、今後、世界そして日本でも死亡原因の順位が上昇すると予想されている。富士経済は、「(日本では)喫煙率は今後も低下すると予想されるものの、喫煙率の高い団塊世代の高齢化により潜在患者数は20年に810万人に増加すると予測する」との見通しを示した。市場規模は15年に785億円(同約95%増)、20年には1139億円(同約183%増)になると分析した。


既存の多くのCOPDの定義では「肺気腫」と「慢性気管支炎」という用語が強調されていましたが、「GOLD 慢性閉塞性肺疾患の診断、治療、予防に関するグローバルストラテジー2011年改訂版(日本語版)」をみると、これらの用語は使われず、COPDは以下のように定義されています(COPD情報サイトをみる)。

「慢性閉塞性肺疾患(COPD)は,予防や治療の可能な,よくみられる疾患であり,持続性の気流閉塞を特徴とする。この気流閉塞は,通常,進行性で,有害な粒子やガスに対する気道および肺の慢性炎症反応の亢進と関連している。増悪および併存症が,個々の患者の全般的な重症度に影響を及ぼす。」

日本では、喫煙と直接関連していることが多いですが、発展途上国などでは大気汚染がCOPDの主要危険因子となっていることも多いようです。また、寿命が延びるということは、すべての危険因子の影響を長期間受けることを意味するため、COPDの有病率は今後さらに増加するものと予想されています。

診断においては、呼吸困難、慢性咳楸、喀痰を有する患者、COPD危険因子への曝露歴などを重視し、最終的にはスパイロメトリーを行うことで、持続的な気流閉塞の有無を確認する必要があります。

薬物治療としては、喫煙者の場合、タバコ依存症の治療が最重要で、禁煙補助薬(バニレクリンなど)やニコチン代替品が使われます。安定期COPDにおける気管支拡張薬としては、β2刺激薬、抗コリン薬、メチルキサンチン類が単独あるいは組み合わせて、主に吸入薬として使われます。
β2刺激薬には、短時間作用型のフェノテロール、レバルブテロール、サルブタモールや長時間作用型のホルモテロール、アルホルモテロール、サルメテロールなどがあります。抗コリン薬としては、短時間作用薬のイプラトロピウム、長時間作用型のチオトロピウムなどがあります。メチルキサンチン類は、アミノフィリンやテオフィリンなどの昔からある薬物です。これら以外にも、コルチコステロイド(吸入および内服)、ホスホジエステラーゼ―4阻害薬などが使われることがあります。

COPDは、●階段の上り下りで息切れがする●せきやたんが出る●風邪が治りにくく、せきやたんが出る●喘鳴がある。などの非特異的な症状しかないため見逃されやすい病気です。的確に治療することでかなりのQOL改善が期待できますので、喫煙などのhistoryに気をつけて早期発見に努めましょう。

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