非侵襲的出生前胎児診断―父母からの採血だけで妊娠18.5週ヒト胎児の全ゲノム配列が決定できる

Noninvasive Whole-Genome Sequencing of a Human Fetus

以下は、論文要約の抜粋です。


母親の血清中に存在する胎児の無細胞DNAの解析は、非侵襲的出生前遺伝学的診断を可能にする。これまでの研究は、絨毛生検などの侵襲的方法により得られたサンプルを用いて、胎児トリゾミーの検出、父性特異的遺伝性突然変異や遺伝子多型などを調べるものに限られていた。

本研究で我々は、両親のゲノム配列決定、母親由来ハプロタイプのゲノムワイド解析、母体血清中DNAの大規模配列決定の3つを組合わせることで、妊娠18.5週胎児のゲノム配列を非侵襲的に決定できることを報告する。

この方法によって280万箇所のヘテロ接合部位における遺伝を98.1%の精度で予測できた。さらに特異性は限定されているが、44の新生突然変異の中39を検出した。これらのデータのサブサンプリングと第2家族の両親と子供を解析により、両親ハプロタイプの約300kbのブロック群を血清中DNAの小規模配列決定を組合わせると、胎児ゲノムの遺伝的素因決定に十分であることがわかった。

しかし、胎児の新生突然変異をゲノムワイドに検出するためには、母体血清中DNAの超大規模配列決定が必要である。

技術や解析上のいくつかの問題点は残るが、 胎児ゲノムの非侵襲的解析は、遺伝性疾患の出生前診断に役立つことが期待される。


同様の記事は以前にも紹介しました(記事をみる)。コストは別として、父母からの採血のみで、妊娠18.5週(通常は40週で出産)の胎児の全ゲノムがわかる時代になったようです。

以前の記事にも書いたように、私は今さら自分のゲノム配列を知りたいとは思わないですが、これからはそういう時代になるのかもしれません。無傷な遺伝子を持ったヒトなどいるはずはないので、このような技術開発はかえって倫理的な問題や軋轢を増やす可能性があります。

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