鳥は恐竜から進化した−論争についに終止符

鳥は恐竜から進化した-論争についに終止符

以下は、記事の抜粋です。


恐竜から鳥類が進化してきたことは、99%確からしいといわれています。しかし、100% ではない。なぜか。それは、鳥類と恐竜では「指の番号」が違う、という指摘があったからです。指は、親指から小指に向かって、5 本の各指を、1 ~ 5 の番号で呼びます。恐竜と鳥類の前肢には、指が 3 本ありますが、どの番号の指が残っているかが、問題になっていたのです。恐竜の場合、前肢の指は、1‐2‐3 指というのが一貫した定説です。ところが鳥類の前肢の場合は、恐竜と同じ 1‐2‐3 指という説がある一方で、恐竜とは異なる 2‐3‐4 指という説もあり、対立していたのです。

東北大学の田村教授は、マウスの指の形成についての論文を参考に、発生の初期、ZPAと呼ばれる細胞群を基準にして、指を作る細胞の位置関係が調べました。ZPAは他の細胞に指の形成を誘導する「形態形成因子」を作り出す細胞群です。ニワトリの前肢の指の位置を、この基準で詳しく調べたところ、恐竜と同じ、1‐2‐3 指であることが証明できました。


元論文のタイトルは、”Embryological Evidence Identifies Wing Digits in Birds as Digits 1, 2, and 3″です(論文をみる)。

関連記事にも鳥と恐竜の指の違いについての同様の記載があります。中国の約1億6000万年(ジュラ紀後期)の地層から発掘された化石の解析から、リムサウルスという新種の恐竜は、鳥と同じような手(前足)を持っており、鳥がリムサウルスのような恐竜から発達したことを示唆しているという内容です。この時の論文は、リムサウルスが鳥と同じような 2‐3‐4 指だったと報告しています(論文をみる)。

このようなまったく逆の結論の論文が、2年前のNatureに掲載されていることからも、この分野の「ホットさ」が良くわかります。ちなみに、今回の田村さんの論文はScienceに掲載され、その記事がNatureダイジェストで紹介されているので、「論争に終止符」と考えて良いという判断がされているのでしょうか?

前回の記事でも紹介しましたが、「ジュラシック・パーク」というSF小説の中で、マイケル・クライトンは、ジュラ紀がどのくらい昔かを、地球の誕生から現在までの46億年を24時間に短縮し、上手に説明しています。

今から1日前に地球が誕生したとすると、リムサウルスのいたジュラ紀は10分前、60万年前のヒトの出現は11.3秒前です。ヒトは、2.8秒前にアフリカを出て、世界に進出しました。0.19秒前に氷河期が終わり、農業革命がおこりました。キリストが生まれたのは、0.038秒前です。ヒトの一生は、約0.0015秒です。

ジュラ紀の10分前というのが、すごく昔であることがよくわかります。本当に田村さんの論文で「論争に終止符」なのかどうか、今後の展開を見たいと思います。

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