合併症の無い急性虫垂炎には手術が抗生剤よりも優れている?

Amoxicillin plus clavulanic acid versus appendicectomy for treatment of acute uncomplicated appendicitis: an open-label, non-inferiority, randomised controlled trial

以下は、論文要約の抜粋です。


背景:急性虫垂炎は抗生剤で治癒すると考える研究者もいる。合併症のない急性虫垂炎の治療として、アモキシシリン+クラブラン酸の効果を虫垂切除術と比較した。

方法:18-68歳の合併症のない急性虫垂炎患者243人を対象に、アモキシシリン+クラブラン酸の8—15日投与(3g/day)と虫垂切除術の治療効果を非盲検非劣性ランダム化比較試験で検討した。プライマリエンドポイントは、治療開始30日以内の介入後腹膜炎発症。非劣性は、10%ポイント未満の両側95%信頼区間上限とした。

結果:243名ののうち、123名を抗生剤群、120名を手術群としてランダムに割り付けた。4名ドロップアウト後、239例を治療企図解析(intention-to-treat analysis)した。その結果、介入後30日での腹膜炎は抗生剤群で有意に多かった(抗生剤群(8%, n=9) vs虫垂摘出術群 (2%, n=2)。CTスキャン評価を行ったにもかかわらず、手術群では、21/119例(18%)が手術時に予想外の腹膜炎を合併していることがわかった。抗生剤群では、120例中14例(12%)で30日以内の虫垂切除及び、30例(29%)で1ヶ月から1年以内の手術で、うち26名が急性虫垂炎の診断だった。

解釈:急性虫垂炎に対するアモキシシリン+クラブラン酸の治療効果は虫垂切除術より劣る。CTスキャン評価時に予後をもっと予測できるマーカーがあれば抗生剤治療は改善するかもしれない。


最近は、関連記事の冠動脈バイパスや脇窩リンパ節郭清のように外科手術をやってもやらなくても予後は変わらない、というニュースが多かったのですが、これは合併症のない急性虫垂炎に関しては手術が抗生剤よりも優れているという報告です。

しかし、自分がもしも虫垂炎になった時にすぐに手術を受けるかといわれたら、答えはNOです。69%の患者は抗生剤だけでほぼ回復しているわけですから、とりあえずは抗生剤で様子をみて、ダメなら手術をしてもらうということになると思います。

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