抗肥満薬Qnexaで体重10キロ減、これって安全?

Obesity drug Qnexa helps patients drop 22 pounds: Is it safe?
以下は、記事の抜粋です。


臨床試験の結果、抗肥満薬Qnexaは1年間で平均22ポンド(約10キロ)体重を減少させた。体重だけではなく、血圧、血糖値、コレステロール値なども正常化し、その後1年間も減った体重を維持できたという。

FDAは最近、心臓リスクと出生異常についてデータが不足しているとしてQnexaの不承認を発表した。Qnexaは、トピラマート(topiramate)とフェンテルミン(phentermine)との合剤である。トピラマートは口唇裂をおこすことが知られており、フェンテルミンも、致死的な心臓障害をひきおこすとして市場から回収された悪名高い抗肥満薬「フェン-フェン(Fen-Phen)」の片割れである。

しかし、メーカーのVivus社は、2つの成分のちょうど良い配合比率を探り当てたと主張している。臨床試験では34例の出産で口唇裂あるいは口蓋裂の症例は認められなかったという。心臓障害については調べていなかった。

Qnexaの副作用としては、5人に1人の患者が口渇、しびれ感、便秘などを訴えた。少数の患者が、不眠、めまい、味覚異常などを訴えた。また、容量依存的なうつ症状や不安を訴える患者もいた。しかし、もう1つの問題は、何時まで薬を飲む必要があるのか研究者もわからないことだ。


元論文のタイトルは、”Effects of low-dose, controlled-release, phentermine plus topiramate combination on weight and associated comorbidities in overweight and obese adults (CONQUER): a randomised, placebo-controlled, phase 3 trial”です(論文をみる)。

FDAは昨年10月に、Qnexaについての2つの臨床試験の結果を審査して不承認を決めたのですが、この論文はその2つの中の1つの臨床試験について詳しく書かれたもので、4月11日にLancetのオンライン版に掲載されました。

この結果ともう1つの臨床試験の結果をみたFDAの判断は、「Qnexa服用群とプラセボ群の体重減少にはわずかな統計学的有意差しかない。」という結論でしたが、体重を10キロ(6.6%)も減少させています。また、体重だけではなく、56週間も連続して、血圧、脂質代謝、血糖などを改善しているのですが、これについてもFDAのコメントは、「血圧、脂質、血糖値などにも予測された改善が認められた。」という淡々としたものでした。

このためか、この論文では科学論文としては異例の他薬との比較をしています。他薬とは、既に使用されている抗肥満薬であるOrlistatと、現在FDA承認を争っている抗肥満薬であるロカルセリンとコントレイブ(Contrave®、ナルトレキソン(naltrexone)とブプロピオン(bupropion)の合剤)です。

結果は、Qnexa (-6.6%)>コントレイブ(-4.5%)>ロカルセリン(-3.3%)>Orlistat (-2.9%)で、Qnexaが最も効果的に体重を減らしました。FDA承認獲得戦争の展開がどうなるのか楽しみです。

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