Johns Hopkins大学のプロジェクトチームは2018年のレポートで、新型コロナウイルスの様な特性をもつ病原体がパンデミックを引き起こすことを予言していた

次の致命的なパンデミックは、私たちが知っているどんな脅威とも異なる可能性がある、と専門家は言う(The Next Deadly Pandemic Could Be Unlike Any Threats We Know, Say Experts)
2018年にアメリカのJohns Hopkins大学のプロジェクトチームがまとめた”The characteristics of pandemic pathogens(パンデミック病原体の特性)”というタイトルのレポートに基づく記事です(レポートをみる)。この中でプロジェクトチームが予測した地球規模の壊滅的な生物学的リスク(大流行)を引き起こす可能性のある病原体の特性が現在流行中の新型コロナウイルスの性質とピッタリ合致しています。以下は、記事の抜粋です(太字はブログ著者)。


次の致命的なパンデミックは、私たちが知っているどんな脅威とも異なる可能性がある、と専門家は言う

PETER DOCKRILL 2018年5月14日

我たちはその名前は知らない。どこで始まるのか、いつ終わるのかも知らない。しかし、私たちはそれがほぼ確実にやって来ることを知っています。

現在、科学者たちは、次の致命的な世界的大流行が恐らくどのようになるかについての青写真を明らかにし、120人以上の専門家が国境を越える有毒な将来の病原体の特性についての洞察を共有しています。

「呼吸器ウイルスについて真剣に取り組む必要がある」と、Johns Hopkins大学の感染症研究者Amesh AdaljaはLive Scienceに語った。

「現在は、我々の文明や生活を変えるような脅威をもたない病気が多くの注目を集めているが、本当は呼吸器系に感染するものが脅威なのだ。」

Adaljaが話しているジカウイルスやエボラのような病気-は公衆衛生にとって非常に深刻な脅威ですが、地球規模の壊滅的な生物学的リスク(global catastrophic biological risk (GCBR))を引き起こす可能性のある病原体に関しては、それらの病気は私たちが呼吸する空気を通して自由に拡散し感染する病気に比べれば重要ではありません。

これが、パンデミック病原体の特性(characteristics of pandemic pathogens)を調べた、Adaljaが率いたJohns Hopkins Centre for Health Securityが発表した新しいレポートの結論です。

Adaljaと仲間の研究者は、新興感染症の特性と微生物の病原性に関する科学文献のレビューに1年以上費やし、学界、産業界、政府の120人以上の技術専門家にインタビューしました。

チームの最終分析では、次の致命的な世界的パンデミックの原因となる病原体はおそらく呼吸器系の感染を介して広がり、潜伏期間中、症状の発現前(または軽度の症状のみを示す場合)に伝染すると述べています。

このような病気の場合、致死率は低いものの重大(low but significant)なものである可能性が高く、これは病原体の全体的な感染率を実際に高める重要な要因です。

言い換えれば、それは一部の人々を殺しますが、ほとんどは感染に耐えて生き残ります…彼らは感染性の病原体を持ったままウロウロすることで他の人に病原体を広げることができます…一方、非常に致命的で即死させるようなの病原体はそれ自体にとって致命的すぎる(伝染がすぐに終息する)可能性があります。

研究者は、最も危険なパンデミックを引き起こす病原体は、変異する能力もつRNAウイルスだと考えています。

もしも、新しい種類のRNAウイルスが出現し、免疫力の弱い人々に感染した場合…そして既存の医薬品がその感染を効果的に封じ込めなかった場合…GCBRイベント(地球規模の壊滅的な伝染病)がおきると研究者は言います。

「パンデミックを引き起こす病原体は、多くの人を病気にしなければならない」とAdaljaはLive Scienceに語り、最初の症状が軽いために、実はとても深刻な病気だと思われない可能性があると付け加えた。

「誰かが感染すると必ず恐ろしい死を遂げるのではなく、そういったケースは少ない」

良いニュースは、最近ではこのようなパンデミックを引き起こす病原体にはやられていない。悪いニュースは、過去の経験からそれが起こる可能性があることを知っていることです。多くの識者たちは、今日直面しているこのような脅威に対応できるような進歩を十分には遂げていないと言っています。

この新しいレポートが科学界で新たな議論を巻き起こし、目の前にある現実のリスクに直面する準備をしてくれることを願っています…このリスクは今まで見たものとは全く異なるかもしれません。


コロナウイルスのゲノムサイズは約30kbで、インフルエンザウイルスのものの2倍以上で、より変異しやすいとされています。どちらもRNAウイルスです。この点でもピッタリです。

また、今のところ既存の医薬品がその感染を効果的に封じ込めることはできていません。これらを総合すると、今地球上で広がりつつある新型コロナウイルスは、「地球規模の壊滅的な生物学的リスク(global catastrophic biological risk (GCBR))を引き起こす可能性」があると思われます。上の記事に出てくるAdalja氏が今何を考えているのか知りたいです。

アメリカってホントに医学は超一流ですが医療は二流だと思います。

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