新型コロナからの回復例、米国からの症例報告、肺炎が出現したのは発症(咳が出現)から発症9日目「早期症状からの鑑別は困難」

新型コロナからの回復例、米国からの症例報告…remdesivir投与で症状改善、「早期症状からの鑑別は困難」
以下は、記事の抜粋です。


New England Journal of Medicineは1月31日、米国内で初めて確認された新型コロナウイルス(2019-nCoV)感染例の症例報告を掲載した。患者は35歳、男性。発症5日目に2019-nCoV陽性が確認され、医療観察のため入院していたが、肺炎が出現したのは発症9日目(入院5日目)だった。急速に状態が悪化したため、同11日目(入院7日目)にremdesivirが投与され、同12日目(入院8日目)に改善を得ている。調査チームは「初期の症状に特異的なものはなく、呼吸器感染症の流行るこの時期には特に、一般的な感染症と区別するのは困難だ」と警鐘を鳴らしている。

remdesivirはエボラ出血熱などの治療薬として開発された新規ヌクレオチドアナログプロドラッグ。エボラ出血熱の治験薬からは外れ、現段階で承認している国はないが、呼吸器疾患を起こし得る他のウイルスに抗ウイルス活性を示す可能性が示唆されている。

この患者は、中国・武漢市の家族を訪れたあと、1月15日に米国へ帰国した。帰国翌日(発症1日目)に咳が出現、その後熱感も伴ったことから、1月19日(発症4日目)にワシントン州スノホミッシュ郡の救急クリニックを受診した。

その時点で臨床的な異常所見はなかったが、武漢訪問歴があったことから、患者情報がワシントン州当局およびCDCへ伝えられ、核酸検査(rRT-PCR)が実施された。翌20日(発症5日目)に2019-nCoV陽性が判明し入院した。

入院時の陽性所見は、持続する咳と2日間続く嘔気嘔吐、頻脈に伴う間欠的な発熱のみ。息切れや胸痛はなく、状態は安定しており、同院ではアセトアミノフェンなどによる支持療法のみを実施した。入院3日目(発症7日目)の胸部X線でも異常所見はなかった。ただし、入院2日目に2度の下痢があった。

状況が変化したのは入院5日目(発症9日目)の夜。SpO2が90%まで低下し、胸部X線で左肺下葉に肺炎と診断できる陰影が出現した。入院6日目(発症10日目)には鼻酸素吸入を開始。院内感染による肺炎の可能性を考慮し、バンコマイシンおよびセフェピム投与も開始した。同日の胸部X線では両肺基底に索状影を認め、非典型肺炎が考えられた。

この画像所見と2019-nCoV陽性所見の持続、持続する発熱、NCIPについての中国からの報告に基づき、同院では治験薬のcompassionate useを決断。入院7日目(発症11日目)の夜にremdesivirの経静脈投与を開始した。バンコマイシンおよびセフェピムは中止した。

remdesivir投与に伴う有害事象は認められず、入院8日目には患者の臨床症状およびSpO2、画像所見は改善した。入院11日目(発症15日目)に当たる1月30日現在も患者は入院中だが、熱はなく咳以外の症状は消失。咳の重症度も改善しているという。

調査チームは、本患者の初期症状が軽度の咳と37度台の間欠的な発熱のみで、発症9日目まで胸部X線でも肺炎の所見が見られなかったことを振り返り、「このような非特異的な兆候や症状から、早い段階で2019-nCoVを他の一般的な感染症と鑑別するのは、特にウイルス性の呼吸器感染症が流行る冬季では困難だ」と考察している。


元論文のタイトルは、”First Case of 2019 Novel Coronavirus in the United States”です(報告をみる)。この報告は1例だけについてのものですが、多くの情報があります。

高熱が出始めたのは発症から5日目で時間がかかっています。これは潜伏期間が1~3日で急速に高熱を発症するインフルエンザと全然違います。また、インフルエンザの場合、普段健康なヒトであればほとんどが1週間程度で治癒しますが、この症例の場合発症から9日目で肺炎が出現し、11日目まで高熱が続いています。

1例だけの話ですが、アメリカで適切な医療処置が行われたにもかかわらず、発症後遅くとも5日目から排菌し、軽い症状が続いた後、9日目にSpO2が90%まで低下する呼吸不全に陥ったことは、この病気が侮れないものであることを示唆しています。

中国 武漢からのツアー客を乗せたバスの運転手を務めた奈良県の60代の男性は、1月28日に新型コロナウイルスへの感染が確認されました。2月4日記者会見した奈良県によりますと、男性は治療の結果、熱が下がるなど回復に向かっているそうですが、現在もウイルスが検出されているとのことですので、上の記事のアメリカの症例と同じくらい難しい症例だと思います。

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