中国、新型肺炎の治療に抗HIV薬を試験的に使用(米アッヴィ社製)

中国、新型肺炎の治療に抗HIV薬を試験的に使用=アッヴィ
以下は、記事の抜粋です。


米製薬大手アッヴィは1月26日、中国保健当局が、感染が急拡大する新型コロナウイルスによる肺炎の治療に抗エイズウイルス(HIV)薬を試験的に使用していると明らかにした。

同社の広報担当者、アデル・インファンテ氏によると、保健当局から抗HIV薬「アルビア(カレトラ)」の使用で要請を受けたという。

中国政府は23日公表の指針で、コロナウイルスに有効な治療薬はないとしたうえで、カレトラ配合錠「ロピナビル/リトナビル」を2錠と、吸引機器「ネブライザー」で投与される「アルファ・インターフェロン」を1日2回服用するよう勧めている。

中国の湖北省・武漢市で発生した新型コロナウイルスによる肺炎の患者数は中国国内で2000人を超え、死者は56人に達している。


1月初めに新型コロナウイルスと発表がなされ、1/10にはゲノム配列が解明、1/21にはそのゲノム配列に基づいた最初の科学論文が発表、その後、1/25には結晶構造解析とそれに基づくスクリーニングや酵素活性測定によって、阻害活性を有する30種の既知の化合物が同定されました。ものすごいスピードです。同定された既知の薬剤の中で12種類はHIV治療薬であり、その中で、ロピナビル/リトナビル(カレトラ®︎)の有効性と安全性を評価するためのランダム化比較試験が開始されたそうです(記事をみる)。この合剤はもともとエイズ(HIV)ウイルスに対して使用されている薬剤です。以下の写真のように日本でも売られています。

主成分の『ロピナビル』は、エイズウイルスのプロテアーゼという酵素の働きを阻害することで、感染性をもつ成熟ウイルスへの移行を阻害します。これによって、新たな細胞への感染が起こらなくなり、エイズウイルスの増殖が抑制されます。

『リトナビル』は、多くの薬剤の代謝・分解にかかわる酵素であるCYP3Aを阻害して、主成分のロピナビルの血中濃度を高め、その効力を増強・維持するのが主な目的として使用されます。この薬物を同時に投与することで、プロテアーゼ阻害薬およびHAART療法(HIVに対する多剤併用療法)の副作用を減らすことができます。

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