「27国立大が消える?」、どこかでみたような国立大学協会のメッセージ

27国立大が消える?=交付金減なら「知的基盤破壊」-概算要求に向け、協会試算

以下は、記事の抜粋です(下線筆者)。


政府の2011年度予算概算要求をめぐり、86の国立大学法人でつくる国立大学協会は7月24日までに、運営費交付金の1000億円規模での削減が懸念され、27大学が消滅しかねないとの試算をまとめた。「国の知的基盤を破壊する」として、削減対象から外すよう求めている。

政府は、国債費を除く歳出を今年度並みの71兆円以下に抑える方針。同協会関係者は、運営費交付金が10%前後削減され、1000億円減となることも予想されるとしている。

1000億円が削減されれば、小樽商科大の15億円を始め、福島大35億円など交付金が少ない大学順に合計すると、27大学分に相当するという。実際には各大学の交付金がほぼ一律に削減されるとみられる。


7月7日に良く似た記事がありました。以下にその抜粋を紹介します(下線筆者)。


文科省SOS 運営費交付金など削減なら「阪大・九大消滅も」

参院選後に始まる平成23年度予算の概算要求で、文部科学省が大学の日常的な教育研究を支える「国立大学法人運営費交付金」などについて削減対象から外すよう要求していく方針を固めたことが7月7日、分かった。

菅内閣が6月に閣議決定した「財政運営戦略」に基づき、省内で試算した結果、同交付金の削減額は約927億円。

文科省の試算によると、研究経費を削って捻出する場合は、現状の32%減となり「大学の研究機能が停止する」と指摘。さらに特定大学の交付停止で対応すれば、「大阪大学と九州大学の2大学を消滅させるか、地方大学や小規模大学27大学をなくさざるを得ない規模」で、わが国の知的基盤の喪失を招くと憂慮している。


私は、上の7月24日の記事をみた時、国立大学協会のメッセージだと気付かず、以前の文科省のメッセージがもう一度報道されたのかと思いました。違うのは、「大阪大学と九州大学の2大学を消滅させる」という選択肢がなくなっただけです。

国立大学協会は、役人が参院選直前に行革つぶしを狙って流したメッセージとほとんど同じものをなぜ今になってまた発信したのでしょうか?参院選前の文科省のメッセージは、政府や国民に対して向けられたものだと思いますが、協会のメッセージはどこに向いているのでしょうか?文科省でしょうか?

文科省が本気で「大学破綻によるわが国の知的基盤の喪失や研究機能の停止といった深刻な結果を招く危険性が高いことから、『削減は到底困難』」と考えているなら、運営費交付金は削減対象から外されるように思いますが、そうではなく、「実際には各大学の交付金がほぼ一律に削減されるとみられる。」ところが悲しいですね。

大学単位で考えると、実際には各部局(研究科、学部など)の交付金がほぼ一律に削減されるとみられます。削減した方が良い部分ではなく、削減しやすい部分から削減することになりそうです。

私は、文科省の予算を10%削減しても、日本の教育や科学技術の進歩にほとんどマイナスにならない削減方法はあると思いますが、そのようなメッセージは出てこないようです。既得権益で固まった組織は、ガラガラポンと崩れるまで変らないのでしょうか?

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