「事業仕分け第2弾」対象独立行政法人、「農業生物資源研究所」がクローン豚を老衰で安楽死

クローン豚「ゼナ」老衰で安楽死 生存期間9年8カ月

以下は、記事の抜粋です。


独立行政法人農業生物資源研究所などは4月22日、2000年に国内で初めて誕生した体細胞クローン豚「ゼナ」が、老衰により起立不能になったため安楽死させたと発表した。生存期間は9年8カ月で、体細胞クローン豚としては世界最高齢だった。

同研究所によると、ゼナは中国系の雌豚で00年7月2日、世界で2例目のクローン豚として誕生。約4カ月後には人工授精で14匹の子豚を出産するなど順調に成長した。死んだ時の体重は約185キロ、解剖では特に病気は認められなかった。

1996年に世界で初めて体細胞クローンの羊「ドリー」が誕生して以来、哺乳類では牛、マウスなど10種類以上の動物で体細胞クローンの成功例がある。しかし、ドリーが6年7カ月と短命だったことなどで、寿命については課題が残っているとされる。

同研究所の大西彰上級研究員は「豚の平均寿命は10~15年。ゼナが約10年間、正常に発育し生殖能力も持ったことで、体細胞クローン技術で誕生した動物が必ずしも短命ではないことを示した」と話している。


現在、政府の行政刷新会議による「事業仕分け第2弾」の真っ最中です。関係ないかもしれませんが、独立行政法人農業生物資源研究所は、仕分け対象となる「47独法」の1つです。

世界で「2例目」のクローン豚というのも微妙です。記事では、クローン動物と寿命の関係について何かが明らかになったような書き方をしていますが、羊の「ドリー」で問題になったテロメアの短縮については、牛や豚では短くならないことが既に明らかにされています。寿命についても予想通り普通だったという結果です。

昨年6月、内閣府の食品安全委員会は、体細胞クローン技術を用いてつくられた牛、豚のクローン食品を「安全」と認める評価書を、農水省に答申しました。しかし、諮問した農水省はその答申を受けても流通を解禁せず、自粛要請を継続するという方針を発表しました(記事をみる)。

この時、流通解禁を見送った理由について農水省は、一層の科学的知見の収集と消費者への情報提供が必要であること、現在の技術では生産率が極めて低く、商業生産への利用が見込まれないことなどをあげています。そして、クローン家畜について、研究機関で生産率の改善手法の開発は続けるとしています。

この「研究機関」の一つが農業生物資源研究所なのでしょう。しかし、体細胞クローン牛や豚の生産率がどんなに上昇しても、普通の牛や豚の価格よりも安価になることはありえません。それに、クローン牛や豚の価格が普通のものの半額になったとしても、マスコミが不安をあおる日本で商業生産への利用が見込まれないことは、最初から明白です。

それでも、事業をスタートする時には、「商業生産をめざして生産効率の高いクローン豚をつくる」内容の作文があったはずです。

ビジネス化の可能性があるヒト化クローン豚の移植医療への応用などは、海外ベンチャーが先行しているようです。

農業生物資源研究所の光るGFP発現クローン豚。仕分け対象でしょうか?

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