また失敗したBACE1阻害薬:アミロイドβはアルツハイマー病治療薬の標的になるのか?

ノバルティス、アムジェン、Banner Alzheimer’s Instituteは、アルツハイマー型認知症の発症予防に関するBACE阻害薬CNP520の臨床プログラムを中止
以下は、7月11日に発表されたプレスリリースの抜粋です。


ノバルティス、アムジェン、Banner Alzheimer’s Instituteは、本日、BACE1阻害薬CNP520 (umibecestat)の2つの第II/III相臨床試験の中止を発表しました。事前に計画された定期的な非盲検データの評価で、一部の認知機能の指標においてCNP520投与群で悪化が確認されました。これらの知見を踏まえ、治験依頼者は、試験参加者に対する潜在的利益がリスクを上回ることはないと結論づけました。

本プログラムでは、年齢および遺伝型からアルツハイマー型認知症の発症リスクが高いと思われる人を対象に、CNP520による発症予防または遅延の有効性および安全性を検討していました。治験依頼者は、本プログラムの治験担当医師にCNP520の臨床試験の中止の決定を知らせ、治験参加者の治験薬服用を中止するよう依頼しています。治験担当医師は、治験参加者に連絡をとり、来院予約を含め、今後の対応について相談することになります。


アルツハイマー病に対するBACE1(ベータセレクターゼ1)阻害薬の研究は失敗が続き、メルク社のベルベセスタット、アストラゼネカ社のラナベセスタット、
ヤンセンファーマ社のアタベセスタットなど、2018年に研究の中止が相次いで発表されました。

また日本のエーザイが米国のアムジェンなどと共同開発していた抗アミロイドβ抗体「アデュカヌマブ」も今年の3月に研究中止が発表されました。

このような状況の中、同じ日(7月11日)にエーザイは抗アミロイドβ(Aβ)プロトフィブリル抗体BAN2401および経口βサイト切断酵素(BACE)阻害剤エレンベセスタットの学会発表についてプレスリリースしています(プレスリリースをみる)。どちらの薬も第Ⅲ相の臨床試験に入っているようです。

今年中にはアミロイドβを標的としたアルツハイマー病治療薬についての結論が出ると思います。

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