痛風等治療薬の「フェブリク錠」、心血管疾患の増悪や発現に注意を―厚労省

痛風等治療薬の「フェブリク錠」、心血管疾患の増悪や発現に注意を―厚労省
昨年の4月にNEJMに発表された痛風治療薬フェブキソスタット(フェブリク錠®)の致命的なリスクをようやく厚労省が認めて、通知「『使用上の注意』の改訂について」を発出しました。以下は、記事の抜粋です。


痛風等治療薬として広く用いられている「フェブキソスタット」(販売名:フェブリク錠)について、海外の臨床試験で「心血管疾患を有する痛風患者では、別の痛風等治療薬である『アロプリノール』(販売名:ザイロリック錠、ほか後発品多数)を使用している患者に比べて、心血管死の発現割合が高かった」との報告があった。フェブリク錠を投与する場合は「心血管疾患の増悪や新たな発現」に注意する必要がある―。

厚生労働省は7月9日に通知「『使用上の注意』の改訂について」を発出し、こうした情報提供を行いました。厚労省は製薬メーカーに対し、できるだけ早期に「使用上の注意」を改訂するよう指示しています。

医療現場で極めて広く使用されている医薬品であり、薬剤部から院内各部門へ、さらに調剤薬局から処方元医療機関等へ十分な情報提供を行うとともに、処方医への積極的な疑義照会を行うことも重要となります。

(1)痛風、高尿酸血症、がん化学療法に伴う高尿酸血症の治療に用いる「フェブキソスタット」(販売名:フェブリク錠10mg、同20mg、同40mg)

▽【重要な基本的注意】の項に、新たに「心血管疾患を有する痛風患者を対象とした海外臨床試験で、アロプリノール群(別の痛風・高尿酸血症治療薬を使用している患者のグループ)に比較してフェブキソスタット群(本剤を使用している患者のグループ)で心血管死の発現割合が高かったとの報告がある。本剤を投与する場合は心血管疾患の増悪や新たな発現に注意する」旨を追記する

▽【その他の注意】の項に、新たに、「海外で実施された心血管疾患を有する痛風患者を対象とした二重盲検非劣性試験において、▼主要評価項目(心血管死、非致死性 心筋梗塞、非致死性脳卒中、不安定狭心症に対する緊急血行再建術の複合エンドポイント)についてはアロプリノール群に対しフェブキソスタット群で非劣性が示された▼副次評価項目のうち心血管死の発現割合はフェブキソスタット群で4.3%(3098例中134例)、アロプリノール群で3.2%(3092例中100例)で、フェブキソスタット群で高かった―。心血管死の中では両群ともに心突然死が最も多かった(フェブキソスタット群:2.7%(3098例中83例)、アロプリノール群:1.8%(3092例中56例))。また、全死亡の発現割合についても、フェブキソスタット群で7.8%(3098例中243例)、アロプリノール群で6.4%(3092例中199例)で、フェブキソスタット群で高かった」旨を追記する。


以前にも書きましたが、フェブキソスタットは、肝臓で代謝された後に便と尿に均等に排泄されるため腎機能低下の影響を受けにくく中等度の腎機能障害のある患者でも投与量の制限が必要ないという評価で、多くの医師が処方してきました。特に新薬好きで愛国的な医師は、腎機能に問題のない患者にも高価な(=患者にも国にも負担がかかる)フェブキソスタットを処方してきたと思われます。

痛風患者の心血管リスクは正常者よりも高いです。今後は、腎機能に問題のない患者にはアロプリノールを処方すべきだと思います。

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