腸内細菌がパーキンソン病治療薬を分解して効果を弱めることがある

腸内細菌が薬を食べて効果を弱めてしまうことがあると判明
以下は、記事の抜粋です。


手の震え・動作や歩行の困難などの運動障害を示すパーキンソン病は、日本では特定疾患に認定されている難病です。パーキンソン病患者を治療するために、摂取された後で脳内に移動してドーパミンへと変化するレボドパ製剤が使用されます。ドーパミン自体は血液脳関門を通過することができませんが、レボドパはレボドパ脱炭酸酵素によってドーパミンとなることができるため、ドーパミンを直接投与するのではなくレボドパ製剤が投与されるとのこと。

カリフォルニア大学やハーバード大学の研究者らは、このレボドパ製剤の効果が人によって違ってしまう原因が腸内細菌にあるのではないかと考えました。Human Microbiome Projectのデータベースを参照して分析を行ったところ、エンテロコッカス・フェカーリス(腸球菌)およびエガセラ・レンタという2種類の細菌がレボドパ製剤を「食べてしまっている」ことを突き止めました。

まず最初に、エンテロコッカス・フェカーリスがレボドパが脳に到達する前に、腸内でドーパミンへと変換してしまうとのこと。続いてエガセラ・レンタが腸内のドーパミンをメタチラミンという物質に変換してしまい、レボドパ製剤の効果を打ち消してしまうそうです。人によってこの2種類の細菌保有量に違いがあるため、結果的にレボドパ製剤の効果が人によってバラ付きがある結果となっていた模様。


元論文のタイトルは、”Discovery and inhibition of an interspecies gut bacterial pathway for Levodopa metabolism”です(論文をみる)。

ドーパミンは多くの生物種に共通する生理活性物質ですので、分解する酵素をもつ菌がいても不思議ではありません。論文では、腸内細菌に働いてレボドパ製剤の効率を良くする薬物の効果も調べています。

パーキンソン病は、1000人に1人~1.5人。60歳以上では100人に約1人で、高齢者では多くなりますので、人口の高齢化に伴い患者さんは増加しています。また、レビー小体型認知症の患者の多くもドーパミン神経変性によるパーキンソン症状を示します。この論文のようなアプローチが治療の改善に役立つことを期待しています。

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