活動性及びメトトレキサート不応性関節リウマチ(RA)患者におけるJAK1阻害薬単剤療法としてのウパダシチニブ:無作為化プラセボ対照二重盲検第3相試験

活動性関節リウマチおよびメトトレキサートに対する不適切な反応(SELECT-MONOTHERAPY)を有する患者における単剤療法としてのウパダシチニブ:無作為化プラセボ対照二重盲検第3相試験
元のタイトルは”Upadacitinib as monotherapy in patients with active rheumatoid arthritis and inadequate response to methotrexate (SELECT-MONOTHERAPY): a randomised, placebo-controlled, double-blind phase 3 study”です。以下は、論文要旨の抜粋です。


メトトレキサート(MTX)の効果が不十分な関節リウマチ(RA)患者の治療において、選択的ヤヌスキナーゼ(JAK)1阻害薬upadacitinibの単剤療法をMTXの継続投与と比較し、評価することを目的とした。

方法

本研究は、24ヵ国138施設で実施された。対象は、年齢18歳以上、米国リウマチ学会/欧州リウマチ学会のRAの分類基準(2010年版)を満たし、MTXによる治療を行っても活動性RAが認められる患者であった。被験者は、MTXからupadacitinib 15mgまたは30mg(1日1回)に切り替える群、あるいは試験開始前と同一用量のMTXを継続投与する群に無作為に割り付けられた。主要エンドポイントは、14週時のACR基準で20%の改善および低疾患活動性(DAS28≦3.2)の達成割合とした。

結果

2016年2月23日~2017年5月19日に患者登録が行われ、648例が無作為に割り付けられた。598例(92%)が試験を完遂し、14週時のACR20達成率は、MTX継続群が41%(89/216例)であったのに比べて、upadacitinib群では、15mg群が68%(147/217例)、30mg群は71%(153/215例)と有意に良好であった。

14週時のDAS28(CRP)≦3.2の達成率も、upadacitinibの2つの用量群のほうが優れた。有害事象の報告は、MTX継続群は47%(102例)、upadacitinib 15mg群が47%(103例)、30mg群が49%(105例)であった。帯状疱疹が、それぞれ、1例、3例、6例に認められた。

結論

MTXの効果が不十分な関節リウマチ(RA)患者の治療において、JAK1阻害薬upadacitinibの単剤療法はMTXの継続投与に比べ、臨床的および機能的アウトカムを有意に改善する。安全性はMTXとほぼ同等であった。


現在RAに使用されているJAK阻害薬のトファシチニブ(ゼルヤンツ®)がJAKのうちJAK1、JAK2、JAK3を阻害し、バリシチニブ(オルミエント®)はJAK1とJAK2を阻害することが知られています。本論文はJAK1を選択的に阻害する薬物もMTXに不応性のRAに対して有効であることを示すものです。

JAK1阻害薬は、RAだけではなく潰瘍性大腸炎やクローン病にも有効であるとされており、製薬各社が激烈な開発競争を繰り広げています。

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