ノーベル医学・生理学賞有力候補者

トムソン・ロイター:25名の新たなノーベル賞有力候補者を発表

ビジネスや専門家向けの高度な情報を提供する世界的な情報通信会社トムソン・ロイターのサイエンティフィック事業部が毎年発表しているノーベル賞予想です。

昨年は、Roger Y. Tsienさんが化学賞を受賞するという予想があたりました。ただし、トムソン・ロイターはTsienさんの単独受賞を予想し、下村さんの名前はありませんでした。

医学・生理学賞についてだけコメントします。医学・生理学賞は毎年10月の第1月曜に発表されます。今年は10月5日です。有力候補者の一人がfunctional MRIの小川誠二さんであることは、既にニュースで報道されていますので、ここでは他の人たちを紹介します(小川さんの記事をみる)。

「テロメア、テロメラーゼの発見とその先駆的な研究」というトピックでは、Elizabeth H. Blackburn、Carol W. Greider、Jack W. Szostakの3名のアメリカ人が候補者です。テロメアは、真核生物の染色体の末端部にある構造で、テロメラーゼはテロメアを合成(伸長)する酵素です。細胞の寿命やがん化において重要な働きをしています。

BlackburnさんとGreiderさんは、1998年にテロメア構造の解明とテロメラーゼの発見でGairdner Foundationの賞を共同受賞しています。Szostakさんは酵母の人工染色体をつくり、テロメア研究に貢献しました。現在は、生命の起源や合成生物学に興味があるようです。

もう1つは、「細胞内膜輸送の研究」というトピックで、James E. RothmanとRandy Schekmanという2名のアメリカ人が候補者です。この2人も1996年にGairdner Foundationの賞を共同受賞しました。

Rothmanさんは、細胞内膜輸送の試験管内アッセイ系を作り、SNAREとよばれる膜と膜とが融合に必要なタンパク質群を発見しました。Schekmanさんは出芽酵母の遺伝学を駆使して、細胞内輸送で重要な働きをするSEC遺伝子群を発見しました。

Gairdner Foundationの賞といえば、今年、京大の森和俊さんが小胞体ストレスメカニズムの解明でこの賞を受賞しました。先々週にラスカー賞を受賞した、iPS細胞の山中伸弥さんにも可能性があります。10月5日の発表を楽しみに待ちましょう。

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