Belimumab (Benlysta®、抗BLyS モノクロ抗体) SLE第3相試験の結果良好

Lupus drug shows promise in trials
HGS Stock Up 277% On Lupus Results

全身性エリテマトーデス(systemic lupus eryhtematosus、略してSLE)は、難病に指定されている自己免疫疾患です(SLEの説明をみる)。

私が学部学生時代、臨床配属実習で最初に担当したのがSLEの患者さんでした。当時の治療薬は、副腎皮質ステロイドと非特異的な免疫抑制薬だけでした。記事によると、「50年間、SLEの新薬は出なかった」と書かれているので、私の研究している免疫抑制薬はあまり有効ではないようです。やはり、腎臓への副作用が問題なのでしょうか?

昨日、Human Genome Sciences(HGS)社は、Belimumab(商品名:Benlysta、抗BLyS モノクローナル抗体)が865人の患者を対象とした臨床試験において、有効性を示したと発表しました。この発表を受けて、HGSの株がはね上がったことが米国各誌の記事の見出しになりました。

Belimumabは、HGSのホームページにその作用機所が説明されています(HGSのホームページをみる)。Belimumabは、B-lymphocyte stimulator(BLyS)に対するモノクローナル抗体です。SLEの患者では、BLySレベルが増加し、この増加が自己抗体産生に関わるとされています。

BLySは、 BAFF、TALL-1、zTNF4などともよばれるTNF関連分子で、 BCMA、TACI、BAFF-Rの3種類の受容体に結合し、B リンパ球の生存を促進します。

臨床試験の結果は、BelimumabがBLyS/BAFFと結合、自己抗体産生の抑制を介して、SLEの症状を改善することを示唆しています。プラセボ投与群と比べて、14%の改善というのは少し寂しいですが、これをきっかけとして、SLE新薬や他の自己免疫疾患に有効な薬物がどんどん出てくることを祈っています。薬事日報に、SLE新薬の解説があるので以下に紹介します。Belimumabのことも書かれています。

SLEに次世代生物製剤‐B細胞産生阻害抗体が第III相へ

コメント

  1. ぶーすか より:

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    この新薬が発表されて3年後にやっと日本でも治験なんですね…。首を長くして待っていた新薬ですが「プラセボ投与群と比べて、14%の改善というのは少し寂しいですが…」というのがちょっと気がかりですが、期待しつつもあまり過大に期待しないで挑みたいと思います。
    SLEの情報があまり多くないの本当に有難いです。

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