コーヒーは予想以上に代謝に影響する

コーヒーは予想以上に代謝に影響する
以下は、記事の抜粋です。


米ノースウェスタン大学のMarilyn Cornelis氏らの研究は、コーヒーを飲む習慣があるフィンランドの成人男女47人を対象に行った臨床試験に基づくもの。参加者にはまず、コーヒーを摂取しないで1カ月間過ごしてもらった後に、1カ月間は1日4杯コーヒーを摂取してもらい、その次の1カ月間は1日に8杯摂取してもらい、血液検査を毎月行ってメタボローム・プロファイリングにより733種の代謝物質の血中濃度を観察した。

その結果、コーヒーを1日4~8杯摂取すると115種の代謝物質の血中濃度が有意に変化することが分かった。例えば、コーヒーの摂取は、脳内マリファナに類似した物質として知られる内因性カンナビノイドシステムに関連する代謝産物の血中濃度を低下させることが分かった。また、コーヒーの摂取は性ホルモンなどのステロイドホルモンや脂肪酸代謝に関連する代謝産物の血中濃度にも変化をもたらしていた。

内因性カンナビノイドシステムは、ヒトの食欲やエネルギーの産出と消費、血圧、睡眠などの基本的な身体機能のコントロールに重要な役割を担っている。Cornelis氏は「コーヒーの摂取は内因性カンナビノイドシステムの活性を抑えるように働くため、いわゆる脳内マリファナによる食欲増進とは反対の働きを示す。コーヒー摂取による肥満予防効果には、このシステムの役割が大きい可能性もある」と指摘している。

米国栄養士会(Academy of Nutrition and Dietetics)のAngela Lemond氏は、この研究は小規模なもので、コーヒーの摂取量もゼロから1日4杯、1日8杯と設定されており、一般的なコーヒー摂取の習慣を必ずしも反映していない点を指摘。また、米国では成人のカフェイン摂取量は、1日400mgまでが安全域とされており、コーヒーを1日8杯も摂取するとカフェイン含有量が上限を超えてしまい、睡眠や精神面への悪影響が懸念されることも強調している。


元論文のタイトルは、”Metabolomic response to coffee consumption: application to a three‐stage clinical trial”です(論文をみる)。

論文では、コーヒーを飲むことで、以下の5つの代謝経路に関与する物質が統計学的に有意に増えたとしています。(i) キサンチン代謝:カフェインの代謝産物を含む  (ii) ベンゾエイト代謝:腸内微生物叢の代謝活動により作られるポリフェノール代謝産物 (iii) ステロイド:新しい発見だがコーヒーに含まれるフィトステロールを反映しているかもしれない (iv) 脂肪酸代謝 (アシルコリン): コーヒーとの関連が初めて分かった (v) 内因性カンナビノイド: コーヒーとの関連が初めて分かった。

これらの代謝系や代謝産物が変化していることは確かですが、それぞれがどのような影響があるかはこれからの問題です。コーヒー好きとしては、良い影響であることを祈ります。

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