中性脂肪を下げる選択的PPARαモジュレーター(SPPARMα)ペマフィブラート(パルモディア®)

興和、高脂血症薬の承認取得~自社開発、海外でも展開

以下は、記事の抜粋です。


製薬メーカーの興和は7月18日、高脂血症治療薬「パルモディア錠0.1ミリグラム」(一般名ペマフィブラート)の国内での製造販売承認を厚生労働省から取得したと発表した。自社で創薬した新薬で遺伝子の発現を制御するたんぱく質を活性化し、血中の中性脂肪を低下させるという。海外での臨床試験(治験)も実施しており、今後グローバルに展開していく計画だ。


下の図のように、ペマフィブラートなどのフィブラート系薬物は、遺伝子調節に関わる受容体であるPPARαに働いてリポプロテインリパーゼという酵素を増やすことで、中性脂肪(トリグリセリド)を分解して減らすと考えられています。

フィブラート系の薬には、ベザフィブラート(ベザトールSR®)、フェノフィブラート(リピディル®/トライコア®)、クリノフィブラート(リポクリン®)、クロフィブラートなどいろいろあります。ペマフィブラートの「パルモディア」という商品名は、PPARαモジュレーターをもじって付けられたそうです。PPARαモジュレーターという意味では、フィブラート系の薬物はすべて「パルモディア」なのですが、ペマフィブラートは特にPPARαに対する選択性が強く、SPPARMα(スパームアルファ、Selective Peroxisome Proliferator-Activated Receptor Modulatorα)とよぶのだそうです。

選択性が強いので、他のフィブラートよりも副作用が少ないことが期待されています。そのためか記事には、「血中のコレステロール値を低下させる作用を持つ『スタチン』と呼ぶ種類の薬との飲み合わせも可能という」と書かれていますが、添付文書には他のフィブラートと同様に「スタチンとの原則併用禁忌」が書かれています。このスタチンとの原則併用禁忌が外れないとブロックバスター(バカ売れする薬)になるのは苦しいと思います。

血中の中性脂肪(トリグリセリド)低下作用以外に、善玉といわれるHDL-コレステロール増加作用もあるそうです。一方、残念ながら、悪玉のLDL-コレステロール増加の可能性もあると言われています。薬物相互作用のため、シクロスポリンおよびリファンピシンとの併用は禁忌で、重要な副作用としてスタチンと共通の横紋筋融解症があります。

興和はパルモディア®をグローバル戦略製品と位置付け、世界24カ国での治験も始めたそうです。パルモディア®の投与で血中の中性脂肪を下げることが心血管リスクの低下に直結するかどうかを注目したいと思います。

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