アリをむやみに殺すのは逆にヒアリを定着させる

ヒアリの女王アリ発見で、フマキラー株が28年ぶり高値だそうです(記事をみる)。各地のドラッグストアでは、アリに効く殺虫剤のコーナーが設置され、都内のホームセンターでは「通常の5倍の売り上げになっている」ところもあるそうです。

しかし、見つけたアリを殺虫剤で片っ端から殺して良いものでしょうか?

敵はヒアリ 頑張れ日本のアリ?という記事によると、それは間違っているようです。以下は、記事の抜粋です。


沖縄科学技術大学院大学の吉村研究員は、日本のアリは天敵とはいえないまでも「敵にはなる」と言います。ポイントはヒアリの侵入がどの程度まで進んでいるかで、まだ侵入してまもない時期であれば、在来アリの存在が一定の防衛力になるようです。

ヒアリもほかのアリと同じように、女王アリが巣から飛び立って、新たな巣を作り、卵を産むことで数を増やしていきます。1匹の女王アリであれば、在来のアリの集団が倒してくれる可能性があります。女王アリがいなければ、繁殖することはできず、定着も進まないという訳です。アメリカでの実験結果からも、「初期の段階であれば、在来のアリが“バイオレジスタンス”として戦ってくれるので、むやみにアリを殺さない方がいい」と考えられています。

ヒアリの最大の武器は増殖力の強さだといいます。日本でよくみかけるアリの多くは、数百から1000匹程度が1つの巣を作りますが、ヒアリは多いもので100万匹にもなります。
そして、女王アリも、日本のアリは1つの巣にせいぜい数十匹なのに対し、ヒアリは数百匹から数千匹にもなります。次々と数を増やすことができるそうです。

取材した専門家が一同に口にしたのは、「殺虫剤を使って過剰に在来のアリまで駆除してしまうこと」への警鐘でした。殺虫剤では、アリ以外の生物も殺します。その結果、アリ以外の競争相手もいなくなってヒアリが生息範囲を広げる余地を生みだしてしまいます。

強い毒を持つヒアリですが、過剰におそれないこと、正確な知識を得たうえで「正しく恐れること」が大切なのではないかと今回の取材を通じて感じました。近くにヒアリかも?というアリを見つけたら、まずは、地元の自治体や環境事務所に相談することが大切です。


ヒアリの特徴は、下の写真のような大きなアリ塚を作ることです。日本の在来種には土でこんな大きな塚を作るアリはいないそうです。今までのところ、女王アリは見つかっていますが、アリ塚は見つかっていません。これらは、日本へのヒアリの侵入が初期の段階であることを示唆しています。アリをむやみに殺すのは逆にヒアリを定着させることになると思います。

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コメント

  1. あ* より:

    「アリをむやみに殺すのは逆にヒアリを定着させることになる」という点に同感です。
    我が家では猫さんがアリでも何でも昆虫食をするので、食べてしまいますが。
    食べないのはカメムシだけです。

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