なんで今さら、和牛受精卵持ち出しで逮捕?

和牛受精卵持ち出し 男2人逮捕 大阪府警
以下は、記事の抜粋です。


輸出が認められていない和牛の受精卵と精液が一時中国へ持ち出された事件で、大阪府警は3月9日、検査を受けずに受精卵などを持ち出したとして、藤井寺市の飲食店経営、前田裕介容疑者ら2人を家畜伝染病予防法違反などの疑いで逮捕した。受精卵などは徳島県内の畜産農家が売却したものだったことが既に判明しており、府警は流出の詳しい経緯を調べる。

逮捕容疑は昨年7月、農林水産省動物検疫所の輸出検査を受けずに、和牛の受精卵などを大阪府内の港から中国・上海へフェリーで持ち出したとしている。

同法は動物などを輸出する際に検査を義務付けており、違反すれば3年以下の懲役か100万円以下の罰金。輸出の詳しい条件は2国間で決めており、和牛の受精卵や精液は検査を受けても輸出できない。

府警によると、受精卵などは液体窒素で凍結され、ストローと呼ばれる筒数百本分が金属製容器に詰められていた。小倉容疑者は中国で輸入を認められずに帰国。日本の検疫所に申告し、「知人に頼まれた。違法とは知らなかった」と説明していた。農水省が今年1月、府警に刑事告発した。

和牛は海外でも人気が高く、受精卵などの流出による国内の畜産業への影響が懸念されている。


上の記事では、今回初めて和牛の受精卵が海外に持ち出されたように書かれています​。しかし、2018年4月に出された「世界に広がる外国産WAGYU。日本の和牛を守れ!」という記事には、以下のように書かれています。


オーストラリアでは1990年代に和牛の受精卵と精子が輸入されたことで、遺伝子レベルでの和牛の生産が開始。これまで種の輸出はなかったが、おいしい和牛を世界の人に食べてもらいたいと考えた北海道の日本人畜産業者が輸出に踏み切ったという。その頃輸出を規制する法律はなかったものの、和牛の遺伝子を海外に出さないよう働きかけていた日本国内の和牛生産団体からその後除名処分を受けている。


また、「和牛は今や世界の「WAGYU」:米国、オーストラリアに続き中国でも生産」という別の記事にも、北海道の業者からオーストラリアに和牛の受精卵と精子が輸出されたことや、「WAGYU」の生産が、オーストラリアだけではなくアメリカや中国でも既に行われていると書かれています。以下は、その抜粋です。


オーストラリアに初めて和牛が持ち込まれたのは1989年から99年にかけて。その約10年間の遺伝子輸入の80%以上に直接関与したのがオーストラリア産WAGYUの生みの親ともいわれるデービッド・ブラックモア氏だ。

同氏は92年に北海道の畜産業者だった武田正吾氏と出会い、和牛の遺伝子を特別に譲り受けた。受精卵と精液の輸入を開始した。武田氏は94年にブラックモア氏と和牛遺伝子の対豪輸出独占代理人契約を結んだほか、96年にかけて米国にも多数の和牛を輸出した。

武田氏は、和牛遺伝子を海外に出さないよう生産者たちに強く働き掛けていた和牛生産者団体「全国和牛登録協会」の要請を無視したとして97年に除名処分を受ける。ただ、輸出を規制する法律はなかった。

ブラックモア氏は88年、米テキサスA&M大学の研究農場で初めて出会った和牛に惚れ込み、オーストラリアで飼養に着手。1990年代末には黒毛和種と同じ遺伝子を受け継いでいる「フルブラッドWAGYU」(和牛の血量が100%)の生産に成功した。

90年には「オーストラリアWAGYU協会」を設立。日本と同様の厳しい登録管理、品質管理を行い、WAGYUの育成と改良にも力を注いでいる。フルブラッドWAGYUの飼養頭数は約30万頭にも達している。同国で飼育されている約3000万頭の約1%だ。

米国産WAGYUの始まりは76年にコロラド大学が日本から輸入した黒毛和種、褐毛和種の種雄牛各2頭。米国内の雌牛と交配し、「ピュアブレッド」(和牛の血量が93.5%以上100%未満)が生まれた。98年までの22年間に日本から和牛の遺伝資源(生体247頭、凍結精液1万3000本)が輸出された。日本はその後、和牛の遺伝資源の保護を進め、99年以降は米国への和牛輸出は行われていない。

米国牛の代表格は黒毛のアンガス種と赤褐色のヘレフォード種などだが、とりわけアンガス種は肉質が軟らかく、霜降りの部分と赤身の部分のバランスの良い牛として有名ブランド牛の地位を確立している。

隣国・中国でもWAGYUが誕生している。地場の「黄牛」とオーストラリアから持ち込まれたWAGYUの精子を掛け合わせて生まれた交雑牛「雪龍黒牛」がそれだ。日中合弁で設立された大連兼松雪龍食品有限公司は、大連市郊外の「雪龍牧場」で黒毛和牛の血統を肥育し、併設の食肉センターで加工。05年8月から、中国各地で販売を開始した。肥育・加工の技術指導を行っているのは日本のカミチク(本社鹿児島市)。食肉販売のノウハウを持つ商社・兼松が参加する日中共同プロジェクトだ。


ということで、どう考えても、今さら和牛の受精卵持ち出しで、しかも中国への持ち込みに失敗したような、無知な大阪の飲食店経営者らを逮捕する必要があるのか、まったく理解できません。

シェアする

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

フォローする