130~139/80~89mmHgの高血圧でも<120/80mmHgの正常血圧に比較すると10万人当たり年間51人多く、脳心血管疾患が発生していた(日本人に遺伝的に近い韓国での研究)

高血圧の定義、現状維持であれば1万人あたり5人の脳心血管イベントが発症するという警鐘
昨日に続いて、桑島氏の論文に対するコメントの紹介です。韓国で発生した脳血管障害、脳心血管死について血圧との関連を分析した論文です。日本でもアメリカと同様に、現在の高血圧の定義「収縮期血圧140mmHg以上または拡張期血圧90mmHg以上(140/90mmHg以上)」と引き下げるべきだという興味深いコメントです。以下は、記事の抜粋です。


2017年に発表された米国ACC/AHA高血圧ガイドラインでは、高血圧基準がJNC7に比べて、収縮期、拡張期とも10mmHg下がり130/80mmHgとされた。果たしてこの新しい高血圧基準をアジア住民に当てはめた場合、どの程度が脳卒中や心筋梗塞などの動脈硬化性疾患から免れるのであろうか。その課題に対する答えを示したのがこの論文である。

本論文は、韓国国民健康保険サービスに参加した20~39歳までの約250万人について2006年から10年間追跡し、その間に発生した4万4,813件の脳血管障害、脳心血管死についてACC/AHA定義に従って分析したものである。

その結果、130~139/80~89mmHgの高血圧でも<120/80mmHgの正常血圧に比較すると10万人当たり年間51人多く、脳心血管疾患が発生していたという。なかでもアジア人の特性として脳卒中発症が冠動脈疾患発症の2倍多いことも明らかにしており、日本人にとっても参考になる。

このようなデータを見ると国民の混乱を招くことを恐れるより、国民の脳卒中や心筋梗塞発症をこそ恐れるべきであり、高血圧の定義も米国にならって130/80mmHgとすべきである。


元論文のタイトルは、”Association of Blood Pressure Classification in Korean Young Adults According to the 2017 American College of Cardiology/American Heart Association Guidelines With Subsequent Cardiovascular Disease Events”です(論文をみる)。

論文では、40歳未満の血圧測定値で被験者を、正常血圧(120/80mmHg未満)、正常高値(120~129/80mmHg未満)、ステージ1高血圧(130~139/80~89mmHg)、ステージ2高血圧(140/90mmHg以上)の4つに分類し、追跡評価しました。

その結果、男性では、心血管疾患(CVD)イベント発生率は、ステージ1群の215/10万人年に対し正常血圧群は164/10万人年(群間差:51/10万人年)でした。また冠動脈疾患(CHD)発生率は、それぞれ134/10万人年、103/10万人年(群間差:31/10万人年)、脳卒中発生率は、90/10万人年、67/10万人年(群間差:23/10万人年)でした。

女性では、CVDイベント発生率は、ステージ1群の131/10万人年に対し正常血圧群は91/10万人年(群間差:40/10万人年)、CHD発生率は、それぞれ56/10万人年、42/10万人年(群間差:14/10万人年)、脳卒中発生率は、79/10万人年、51/10万人年(群間差:28/10万人)でした。また、ステージ2でも同様の結果が得られたそうです。

といことで、確かにステージ1高血圧(130~139/80~89mmHg)での脳心血管イベントは増えそうです。韓国人は遺伝的にも生活習慣的にも日本人に非常に近いので、40歳未満では血圧は130/80mmHg未満まで下げるのが良いと思います。

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