医療費を減らすには「死ぬ前1か月の医療費さえ削ればよい」という落合陽一氏の指摘は完全に誤りだけど、、、

「死ぬ前1か月の医療費さえ削ればよい」落合陽一氏×古市憲寿氏対談で見えた終末期医療の議論の難しさ
この記事は、先日紹介した「過去最高42.3兆円 医療費・大幅増の「主犯」とは」を書かれた市川衛氏が最近書かれたものです。私も含めて多くのヒトが抱いていた幻想を打ち砕く記事だと思います。以下は、その抜粋です。


専門家を中心に議論を呼んでいるのが、下記の古市憲寿氏による発言です。古市氏が指摘している内容をまとめると下記2点のようです。

1)社会保障費(特に医療費)は、終末期医療、特に死の1か月前に多くかかっている

2)「最期の1か月の延命治療」をやめれば、社会保障費減額への効果が大きい

実際のデータをもとに終末期医療のコストについて検討した2015年の研究を見てみました。

死亡前1年間の死亡者一人当たり月別医療費 文献1より

上のグラフは、亡くなった方が、その前の1年間でどのくらい医療費がかかっていたかです。確かに死亡前の3か月くらいから医療費が大幅に増えており、そして最も増えるのは死の1か月前だということがわかります。では、ここさえ減額できれば、医療費を大幅に減らすことが可能なのでしょうか?

次のグラフは、1年間にかかった高齢者全体の医療費のうち、終末期医療にかかった割合を示したものです。

文献1より筆者作成

全体の医療費のうち、終末期医療にかかった費用は1割程度にすぎません。そのほかの9割は、生存した(終末期医療ではない)人にかけられています。

仮にあと「1年で死ぬ」と予測された高齢者は完全に医療サービスを利用できなくしたとして、それで削減できる医療費は1割前後にすぎないということです。さらに死亡前の「1か月」に限定すれば、全体の3%程度にすぎません。


入院のパターン別・死亡前1年間の死亡者一人当たり月別医療費 文献1より ※単位「万円」は論文ママ。おそらく「円」の誤り上のグラフは、記事にある「入院のパターン別・死亡前1年間の死亡者一人当たり月別医療費」で、a、b、cは以下の通りです(おそらく「円」の誤り)。
a:死ぬまでの1年間、全く入院しなかったケース
b:死亡する1か月もしくは2か月前から入院したケース
c:死亡する前の1年間、ずっと入院していたケース

これをみれば、医療費を増やしているのが「入院」であることは明らかです。日本政府が「在宅医療」を推進しているのもこれが理由でしょう。しかし、少子化が進む中、しかも、口先だけにしろ政府は「女性の社会進出を推進」している訳ですから「昔から住み慣れた自宅で家族に看取られるような在宅医療」は不可能です。

「在宅医療」という言葉から、上に書いたような昔から住み慣れた自宅で死を迎えることを想像するかもしれませんが、それは幻想です。実際には、特養、グループホーム、サコージュ(サポート付き高齢者住宅)で死を迎えるのが実際の「在宅医療」です。

これらの「在宅医療」は「入院」よりも政府の財政を圧迫しないかもしれませんが、個々の国民の財政を圧迫することになります。日本の財政を考えると、どこで死ぬにしても医療保険や介護保険はあてにできなくなる、あるいは不十分である時代はすぐに来ます。若いヒトほど、この状況は深刻です。韓国のレーダーのことなど気にしている場合ではありません。

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