DPP-4阻害薬やGLP-1受容体作動薬は、胆管がんリスクを増大する可能性がある

インクレチン関連薬は胆管癌を増やす? 英国のプライマリケア診療データを分析した研究
以下は、記事の抜粋です。


McGill大学のDevin Abrahami氏らは、英国の診療データベースの情報を分析して、インクレチン関連薬のDPP-4阻害薬とGLP-1アナログを使用すると、他の第2選択薬または第3選択薬を使用している2型糖尿病患者に比べ、胆管癌リスクが増加していたと報告した。

インクレチン関連薬の糖尿病治療における有効性は示されている。一方、インクレチンが、まれだが致死性の高い胆管癌の発生に関係する可能性が危惧されている。

著者らは、英国の一般開業医を受診した患者のデータから糖尿病治療薬(メトホルミン、スルホニル尿素、メグリチニド、チアゾリジン、アカルボース、DPP-1阻害薬、GLP-1アナログ、SGLC-2阻害薬、インスリン)の使用した患者を抽出した。

使用薬の種類により、患者は4つの排他的なグループのどれかに分類した。1つ目はDPP-4阻害薬使用者(単剤で、またはGLP-1アナログ以外の糖尿病治療薬と併用)、2つ目はGLP-1アナログ使用者(単剤で、または他の糖尿病治療薬と併用、DPP-4阻害薬からの切り替えは含む)、3つ目はインクレチン関連薬以外の治療薬の使用者(メトホルミンまたはSU薬の単剤投与から追加または切り替えした患者を含む)、4つ目が第1選択薬(メトホルミンまたはスルホニル尿素)で治療している患者だ。

他の第2第3選択薬使用者を基準にした、DPP-4阻害薬使用者の胆管癌の補正後のハザード比は1.77(95%信頼区間1.04-3.01)で、リスクの有意な上昇が見られた。GLP-1アナログの使用者では、ハザード比は1.97(0.83-4.66)となり、リスク上昇傾向を示すも、胆管癌の発症が7件しかなく、信頼区間の幅は広かった。

別の解析では、DPP-4阻害薬とGLP-1アナログの両方が、SU薬またはチアゾリジン系薬を使用した場合に比べ、胆管癌の報告オッズ比の上昇にが示唆された。報告オッズ比は、DPP-4阻害薬が1.63(1.00-2.66)、GLP-1アナログは4.73(2.95-7.58)になった。陰性対照に設定された持効型インスリンアナログの報告オッズ比は1.24(0.72-2.15)だった。

これらの結果から著者らは、他の第2選択薬または第3選択薬に比べ、DPP-4阻害薬と、おそらくはGLP-1アナログも、2型糖尿病患者の胆管癌リスクを上昇させることが示唆されたと結論している。


元論文のタイトルは、”Incretin based drugs and risk of cholangiocarcinoma among patients with type 2 diabetes: population based cohort study”です(論文をみる)。

論文に書かれているように、胆管細胞にはGLP-1受容体が発現されており、肝内胆管癌患者由来の腫瘍組織では、GLP-1受容体の発現が上昇していること、In vitroとin vivoにおいて、GLP-1受容体の活性化が胆管がん細胞の増殖を促進し、アポトーシスを抑制すること、などが報告されているので、GLP-1を増やしたりGLP-1受容体を刺激するインクレチン関連薬が胆管がんリスクを上げる可能性は、メカニズム的には十分あると思われます。

女優の川島なお美さんは54歳、任天堂の岩田元社長は55歳、柔道男子95キロ超級で五輪2大会連続金メダルを獲得した斉藤仁さんも54歳で亡くなった原因はすべて胆管がんです。このように致死性の高い胆管がんのリスクがインクレチン関連薬で本当に上がるとすれば大変です。

日本での、インクレチン関連薬、特にDPP-4阻害薬の使用は世界でトップクラスですので、胆管がんの発生でもトップになるかもしれません。

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