サウジアラビア記者殺害を実行したと発表された18人の多くが皇太子側近だった

記者殺害を実行したサウジアラビア公安機関の仕組み:首謀は情報機関「GIP」より「王室警備隊」内の皇太子側近グループか
サウジアラビアの記者殺害のニュース解説はたくさんありますが、私が一番詳しいと思ったのはこの記事です。書かれていることが事実とすれば、日本が輸入する原油の4割を占める最大の調達国は本物の「ならず者国家」です。以下は、そのごく一部の抜粋です。


サウジアラビアのジャーナリストであるジャマル・カショギ氏が、10月2日にトルコ・イスタンブールのサウジ総領事館内で殺害された疑惑で、20日、サウジ政府がついに殺害の事実を認めた。口論から殴り合いになり、その挙句に殺害してしまったというのだ。あまりに都合のいい発表で、おそらく虚偽に違いない。トルコ当局が入手しているとされる音声データでは、カショギ氏は明らかに最初から「殺害」目的で扱われていたことが、トルコ・メディアの報道からは伺える。

また、サウジ政府は同時に、犯行に関与した18人を逮捕したこと、さらに5人の高官を解任したことも発表した。その中には、ムハンマド皇太子の顧問のサウード・アル・カフタニや、情報機関「総合情報庁」(GIP)のアハマド・アシリ副長官もいた。サウジ政府はこの事件を、GIPが勝手に暴走した結果のアクシデントとして決着を図ることにしたわけだ。なお、同時に政府の情報部門の改革を行う委員会が作られ、ムハンマド皇太子が責任者に任命されたという。つまり、ムハンマド皇太子の責任は一切問わないことになったわけである。

ただし、この説明にも無理がある。まず、実行グループのメンバーをみると、GIPが主導したというにはあまりに不自然なのだ。

今回、サウジ政府の発表では関係者は18人とのことだが、そのうち15人が、殺害当日にサウジからイスタンブールに入っており、顔写真や氏名が判明している。それらの情報から、うち14人の素性が少しずつ判明してきている。以下の表の12人と、ハリド・アイエド・アル・タイビ(王室警備隊員)とムスタファ・ムハンマド・アル・マダニ(情報機関要員)である。残る1人、トルキ・ムサレフ・アル・セフリに関しては詳細不明。

以上のうち、リーダー格の人物は、ムハンマド皇太子の外遊時の警備を担当しているムトレブとみられる。トゥバイジー医師は、トルコメディアが報じるところによれば、カショギ殺害で実際に手を下し、しかも死体をバラバラに切断する役割を負っていた。彼どういったルートからこのチームに加わったのかは不明だが、内務省ルートの可能性が高いのではないだろうか。

その他のメンバーとしては、王室警備隊でムハンマド皇太子の警備に携わっていたメンバーが多い。これは「GIPが主導した」とのサウジ政府が示唆するストーリーと合致しない。

なお、GIPはもともとムハンマド皇太子とは人脈的に近くない組織だったが、ムハンマド皇太子が皇太子の地位に就いた昨年、今回事件の責任をとらされるかたちで解任された側近のアフマド・アシリ少将が副長官に就任している。カショギ氏殺害について「ムハンマド皇太子がアシリ副長官を通じてGIPに命じた」との情報も流れており、その可能性を完全に否定することはできないが、前述したように、実行犯メンバーをみると、GIPが関与していたとしても、バックアップのような関与だったのではないだろうか。

ただ、ムハンマド皇太子の責任を回避するためには、ムハンマド皇太子の直接の命令だった可能性を否定する必要があり、そのためには「GIPの一部が暴走した」とのストーリーは都合がいい。GIPのアシリ副長官は、そうしたストーリーのために責任を負わされたのではないか。

王室警備隊内でも特にムハンマド皇太子を警備するチーム、いわば皇太子の側近グループが独自に行った可能性が高いといえる。そうなると、彼らの通常業務ではない国外での破壊工作を「彼らが勝手にやった」とするストーリーはあまり現実的ではない。しかも、ムハンマド皇太子との「近さ」からも、皇太子の「あずかり知らぬこと」と通すのは、あまりに説得力に欠ける。そうしたことが勘案され、今回はとにかく皇太子の責任を回避するという目的のために、苦し紛れのストーリーを創り上げたのではないだろうか。

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