感染症治療薬の研究・開発には公的支援が必要

製薬大手、抗菌薬から撤退相次ぐ 開発費高騰も少ない承認件数
以下は、記事の抜粋です。


スイスの製薬大手ノバルティスが今年7月、感染症治療薬の研究・開発から撤退する方針を発表した。薬剤耐性菌の急増にもかかわらず、製薬大手が抗菌薬の研究・開発を断念する背景には、費用対効果の問題がついてまわる。抗菌薬の開発費は高騰が続く一方で承認件数が少ない。市場に投入されても、売り上げは抗がん剤や慢性病治療薬とは比べものにならない。

2000年以降昨年までに承認された抗菌薬16件のうち、1億ドル以上の年間売上高を達成したのは5件しかない。数十億ドルを稼ぎ出す抗がん剤の新薬に比べ微々たるものだ。

最も高額な抗菌薬は1日当たりおよそ1000ドル。処方期間は数日か数週間で、数カ月や数年単位で処方される抗がん剤や慢性病治療薬に比べ売り上げはしれている。巨額開発費の回収が難しい抗菌薬で、公的支援による研究開発を促そうとしても効果は上がっていない。

かつて抗菌薬で業界のリーダー格だったアストラゼネカは2年前に抗菌薬事業から手を引いた。米アレルガンは5月に撤退を表明。仏サノフィは提携先の会社に部門を移管、米メディシンズは事業を売却した。最大手の英グラクソ・スミスクラインですら、一部資産の見直しを表明。「抗菌薬の新たな研究・開発を奨励し、それに報いる有意義な方法」の必要性を訴える。

独エボテックのランサラーCEOは、「長期的な公的支援なしに感染症治療薬事業は成り立たない。大規模製薬会社が感染症治療の超大型新薬の開発でしのぎを削るのはナンセンス」と述べ、共同開発で売り上げ2億ユーロの医薬品が実現すれば事業モデルは成り立つと話す。

同社のように規模が比較的小さなバイオ医薬品会社が大手に代わって抗菌薬の開発に参入している。だが「薬剤耐性菌が新薬をはるかに上回る速度で発現している」状況下で、各国政府は危機感を募らせる。生命を脅かす感染症治療には「耐性菌」対策がつきまとう。

英国のリポートによると、50年までに薬剤耐性菌による死亡者数は年間1000万人に上る見通しだ。インドでは6万人の新生児が毎年、スーパー耐性菌で命を落としている。


製薬という事業もビジネスとしてやっている企業にしてみれば、ヒトや社会に必要な医薬品も儲けにつながらなければ撤退するのは当然です。上の記事をみて、一度飲んだら死ぬまで飲むような降圧薬や高脂血症治療薬と比べると、治癒したら飲まないで良い感染症治療薬は儲けにつながらないことが良くわかりました。製薬会社が撤退するのも良くわかりました。

しかし、病原菌によって重症化、あるいは死に至るのを防ぐ薬が非常に重要であるというのは、最近始まったNHKの朝ドラで咲さんが結核で亡くなったのをみても明らかです。

感染症治療は、免疫力の低下した高齢者が増える今後こそ重要です。特に、平均寿命を超えて生きるヒトにとっては、真菌など若いヒトには感染しなかった菌の感染も脅威です。

儲かる薬の研究・開発は企業に任せて、政府は大学などでの感染症研究への公的支援をもっともっと増やすべきだと思います。

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